場 所 東京都文京区某所 日時 2002/09/01 13:00- 残暑厳し
人 数 5名 (アルコール許容量は少ない)
テーマ フランスのワインをダイジェスト的に知りたい
ワインリスト
ワイン 年号 造り手
1 クレマン・ド・ブルゴーニュ N.V. ドメーヌ・ミッシェル・コラン-ドレジェ
2 モンテリー1級レ・デュレス 1998 ドメーヌ・デ・コント・ラフォン
3 コート・デュ・ローヌ メメ 2001 ドメーヌ・グラムノン
飲む前に  今回はあまりアルコールは強くないけれど、おいしいワインを飲んでみたいとのリクエストに応えるために3本用意した。ブルゴーニュだけでストーリーを描く予定だったが、某所にてグラムノンのメメが入手できたので、コート・デュ・ローヌのすばらしさも味わってもらうことにした。アルコールの許容量は3本ぐらいが適当との事前情報により、食前酒の定番スパークリング、本格ブルゴーニュ、食後酒にも使えるローヌの順番にした。
ワイン 1.クレマン・ド・ブルゴーニュ
 ブルゴーニュ地方のスパークリング・ワイン。シャンパーニュ地方と同じ製法により造られ、葡萄品種はシャルドネとピノ・ノワール。デコルジュマンのときにいわゆる門出のリキュールは使わず、同じワインを補充するので葡萄本来の味わいが楽しめる。シャンパーニュよりも低価格ながら辛口白ワインの最高峰シャサーニュ・モンラシェ村の勇者が造る発泡酒は、大変すばらしく、夏の定番中の定番である。10℃以下の温度で泡を楽しめば、乾杯の酒になり、あえて泡を飛ばしてスティルワインとして楽しめば、銘醸シャサーニュ・モンラッシェの味わいを垣間見られる。

2.モンテリー1級
 白ワインのトップ・ドメーヌであるコント・ラフォンが造る赤ワインもまたすばらしい。モンテリーを代表する畑のひとつであるデュレスは他の一級とは異なり、オーセイ・デュレスに接している(他はムルソー側)。ブルゴーニュを代表する造り手のワインを楽しめば、一気にブルゴーニュの魅力に引きこまれるが、このワインが基準になると、他のブルゴーニュをまずく感じる恐れがあり、痛し痒し。しかし一流を飲まなければ、始まらないブルゴーニュの夜明けがある。

3.コートデュローヌ キュベ メメ
 この地方の代表格「ドメーヌ・グラムノン」が造る傑作のひとつ。葡萄品種がグルナッシュ100%というのも珍しいが、何よりもメメ(おばあちゃん)と名づけられるこの特別なキュベは、樹齢135年という超古木から造られ、非常に優れたワインとして格段に評価が高い。荒々しい果実味になりやすい土地柄を古木の滑らかさが覆うとき、コート・デュ・ローヌのおいしさを再発見できるだろう。しかも2001年は、1998に準じる偉大なビンテージである。このワインはぜひ知ってもらいたい味のひとつだ。
味わい 1.クレマン・ド・ブルゴーニュ
 液温16℃。豊かな果実味が抜栓直後から溢れ出す。しかし室温が30℃近いため、あっという間に温度も上昇する。そこでもう一度しっかり冷やすことに。12℃まで冷やすと俄然うまさが違う。引き締まる味わいは、洗練された果実味のおいしさであり、うっすら柑橘を感じつつ、白い果物の果肉的なおいしさに包まれる。ぐびぐび飲めば、すっきり爽快。これを飲むと並のシャンパンは辛くなる。

2.モンテリー1級
 抜栓後すぐINAOへ。液温18℃。夏の日差しを受けて明るいルビー色が輝いている。「色薄いね」の感想そのままの色合いだ。香りは上品で、赤系果実が新鮮。口に含めば、豊かな果実味に奥行きのある味わいが重なり、おもわず楽しい会話も止まってしまう。赤系果実が時間と共になめし皮、チョコレートへと変わりゆき、口に含んだワインをゆっくり飲みこみ、鼻から空気を抜けば、ゆらゆらとしたうまみ成分が口元を漂っている。押し戻るようなうまみ成分こそないが、このゆらゆら感は何ともいえない夢心地である。決して重くなく、決して濃いわけではないのに、この充実感は不思議な感覚すら覚えるだろう。お上品なお吸い物を頂いたときと同じうまみ成分が、いつまでも心に残る味わいだ。

3.コート・デュ・ローヌ キュベ メメ
 抜栓後すこし待ってINAOへ。一転非常に濃い色合い。エッジにムラサキを配する黒いルビー色だ。某女史曰く見慣れたワイン色。スミレのお花畑に顔を押し付けたようなインパクトのあるアロマが印象的。なめらかな口当たりにして、ずしりとした存在感がローヌのワインと認識させる。スミレに線香のような燻し香が加わり、ずしりとうまい。ただ、ピノ・ノワールの繊細さがないため、濃くって強いのに滑らかなワインの印象はやむを得ないだろう。ワインの格から言えば、ラフォンの前に飲むべきであるが、この強い味わいはラフォンの繊細さを飛ばしてしまうので、やはりこの順番で正解だ。このワインに黒蒸パンや葡萄パンなどを合わせれば、食後酒的な楽しみもできるだろう。重量感がありつつ、華やかな香りが全体をふわりと浮かせる印象を持たせ、ローヌのおいしさもまた楽しからずやである。
おまけ  今回はワインはそこそこ飲むが、おいしいワインを楽しみたいというメンバーがそろっていた。葡萄品種はバラバラだったが、世界トップレベルに共通する味わいを堪能できたと思う。次回は一歩進んで、同じメンバーで、ピノ・ノワールのそこはかとない魅力に迫りたい。それにしても昼から飲むと酔うものだ。


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