場 所 浜松市 ワインルームアーベントさん 日時 2002/09/15 18:30 - 22:00
人 数 16名
テーマ ブルゴーニュの大いなる楽しみ方
ワインリスト
種類 ワイン 年号 造り手 本数
1 クレマン・ド・ブルゴーニュ N.V. ドメーヌ・ミッシェル・コラン-ドレジェ 2
2 ブルゴーニュ・シャルドネ 1999 ミッシェル・ステファン 2
3 シャサーニュ・モンラシェ1級モルジョ 1999 ドメーヌ・ジャン・ノエル・ガニャール 2
4 特級ビアンブニュ・バタール・モンラッシェ 1997 ドメーヌ・ポール・ペルノ 2
5 ポマール・ノワゾン 1999 ドメーヌ・ジャン・ガローデ 2
6 モンテリー1級レ・デュレス 1998 ドメーヌ・デ・コント・ラフォン 2
7 特級グラン・エシェゾー 1998 ドミニク・ローラン 1
8 食後 ビンテージ・ポート 1998 キンタ・デ・ヴェスビオ 1
はじめに 今回のワインは、ドメーヌのセラー蔵出ワインで、出荷から日本までの輸送経路および試飲当日までの保管場所が追跡できるワインで、保存状態は完璧である。
ワイン 1.クレマン・ド・ブルゴーニュ (コラン-ドレジェ)
 ブルゴーニュ地方のスパークリング・ワイン。シャンパーニュ地方と同じ製法により造られ、葡萄品種はシャルドネとピノ・ノワール。デコルジュマンのときにいわゆる門出のリキュールは使わず、同じワインを補充するので葡萄本来の味わいが楽しめる。シャンパーニュよりも低価格ながら辛口白ワインの最高峰シャサーニュ・モンラシェ村の勇者が造る発泡酒は、大変すばらしく、夏の定番中の定番である。10℃以下の温度で泡を楽しめば、乾杯の酒になり、あえて泡を飛ばしてスティルワインとして楽しめば、銘醸シャサーニュ・モンラッシェの味わいを垣間見られる。

2.ミッシェル・ステファンのブルゴーニュ
 ブルゴーニュで最も注目を浴びる若手醸造家の一人。ワイン好きが高じて名門ルイ・ラトゥール社に入社。その後、葡萄畑も醸造所もすべて借り物ながら、真においしいワインとは何かを追及している。造られるワインはACブルゴーニュの赤と白だけで、その手腕はDRC共同経営者のプリューレ・ロック氏などから認められ、常に引き抜き対象の第一候補という。しかし、彼はどのドメーヌに所属することも固辞し、自ら独立した立場で、小さいながらもすばらしいワイン造りに励んでいる。彼のワインを知ることは、ブルゴーニュの将来を知ることに繋がる。

3.ジャン・ノエル・ガニャールのシャサーニュモンラッシェ・モルジョ
 辛口白ワインの最高峰の産地シャサーニュ・モンラッシェ村にあって、この村を代表するのがジャン・ノエル・ガニャール。その実力はかのロバート・パーカーも絶賛するほどで、現在は娘のカロリーヌさんがドメーヌの経営にあたっている。造られるワインのほとんどがホテルやレストランに割り当てられ、日本への出荷は極限られているのが辛い。今回の1級モルジョはシャサーニュ村の南側の1級畑を代表し、その特徴であるトロピカルフルーツを基調とした味わいに、この村が世界に名をはせる理由もわかろうというもの。平均的な評価は91点。

4.ポール・ペルノの特級ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ
 辛口白ワインの最高峰の産地ピュリニー・モンラッシェ村にあって、この村を代表する一人にドメーヌ・ポール・ペルノがいる。筆頭ワインはバタール・モンラッシェとビアンヴニュ・バタール・モンラッシェで、共に特級畑。1996年以降このドメーヌが造るワインはそのアペラシオンを代表するワインとして評価を得ている。このビアンヴニュ・バタール・モンラッシェはドメーヌからモンラッシェへと向う一本道の途中にあり、まさに地元の銘醸ワイン。今回のワインは通常品より6ヶ月も長くドメーヌセラーで熟成させたバレルセレクション。ペルノ氏自身はこの熟した果実酸ゆえに偉大な1992ビンテージよりも、この1997の方を好むという。

5.ジャン・ガローデのポマール・ノワゾン
 コート・ド・ボーヌ地区を代表する赤ワインの産地、ポマールの造り手として、その村のトップスリーの一役を担うジャンガローデは、地元ポマールから極上のワインを造り出す。その実力は国内外のレストランで必須アイテムとして確保したがるほど。ガローデおじさんと親しく呼びたくなる風貌にも似て、やさしくも深みのある非常にすばらしいワインを造っている。このポマール・ノワゾンがこのドメーヌの看板ワインのひとつであり、根強いファンがたくさんいる。

6.コント・ラフォンのモンテリー1級
 白ワインのトップ・ドメーヌであるコント・ラフォンが造る赤ワインもまたすばらしい。モンテリーを代表する畑のひとつであるデュレスは他の一級とは異なり、オーセイ・デュレスに接している(他はムルソー側)。ブルゴーニュを代表する造り手のワインを楽しめば、一気にブルゴーニュの魅力に引きこまれるが、このワインが基準になると、他のブルゴーニュをまずく感じる恐れがあり、痛し痒し。しかし一流を飲まなければ、始まらないブルゴーニュの夜明けがある。

7.ドミニク・ローランのグランエシェゾー1998 (自身歴代トップ5のモンスターワイン)
 お菓子職人出身という経歴を持ち、赤ワインに特化したワイン造りは、ネゴシアンという枠を超えて、ブルゴーらニュを代表する醸造家の一人に数えられている。極上のワイン造りのためなら金を惜しまない情熱と資金力は、時に批判の槍玉に挙げられるが、彼の造るワインを飲めば、それが僻みであることがわかるだろう。新樽200%使用など話題に事欠かない存在感も興味深い。

 このグランエシェゾーは1998年のスーパーワインのひとつで、今後の入手はほぼ絶望的な超レアワイン。ドミニク・ローランの発言によれば、自分が造ったワインのなかで歴代ベスト5にランクインする出来映えという。凄いワインだ。異才ドミニク・ローランの造り出すモンスターワインはいったいどんな味がするのだろうか。

8.ビンテージポート キンタデヴェスビオ
 ポートワインの造り手として三本の指に入り、時にトップ評価を受けるヴェスビオの極上ポートワイン。ポートワインにとって偉大な年となった1998年は50年以上の熟成に耐え、孫の代に受け継がれるワインだが、2002年現在でも豊かな果実味が大いに楽しめる。食後のひととき、極上ビンテージポートワインは豊かな食卓を彩ることだろう。ビンテージポートワインは各国の宮中晩餐会必須アイテム。
味わい  今回はブルゴーニュワインの大いなる楽しみと題し、ブルゴーニュのスパークリングワイン1種類、辛口白ワイン3種類、赤ワイン3種類、ビンテージポート1種類の合計8種類を堪能する旅だった。葡萄品種はポートワインを除いて2種類だけ。シャルドネとピノ・ノワールの2種類だけで、かくも多様な味わいを見せつけるブルゴーニュのダイナミックな味わいを楽しんでいただけたかと思うと、うれしくなってくる。ワイン会は2つの山を目指して進行。もちろん目指すは白の頂点と赤の頂点だ。

 クレマンは極冷やしにしてサービス。柑橘のフレッシュな果実味が爽やか。シャンパングラスに立ち上るこまやかな泡が、宴の始まりを誘ってくる。

 ミッシェル・ステファンのブルゴーニュはこのクラスとはとても思えない充実ぶりで、濃い目の金色が鮮やかに輝き、ドライフルーツ、マロンフレーバーのシックな味わい。凝縮された果実味は、食卓を見事に彩っている。

 ジャン・ノエル・ガニャールのシャサーニュ・モンラッシェ1級モルジョは白桃系の洗練された味わい。しっかりとした構造を持つ白ワインであり、一級に備わるフィネスが楽しくなってくる。

 ポール・ペルノのビアンヴニュ・バタール・モンラッシェはさすが特級のふくよかな味わい。溢れるばかりの華やかな香りがグラスに満ち、キリリと低めの温度でサービスされた凝縮感とのギャップも楽しい。熟成感と新鮮な果実味の一挙両得のような味わいで、一本で二度おいしいとはこのことだろう。この味は間違いなく白ワインの最高峰にランクされる味わいだ。

 気分を変えて、ポマール・ノワゾンへ。赤系果実味が豊かで、しっかりした良質の酸とミネラルが見事に絡み合う。1999にして早くもおいしく味わえる逸品だ。

 コント・ラフォンのモンテリーも豊かな赤系と黒系のバランスの良い果実味。なめし皮やバラの花がふくよかに入り乱れ、造り手の実力を垣間見る。ワインの色合いポマールよりも黒めだが、テーブルクロスに揺れる雫の輝きは、一層明るいルビー色で、色合いの不思議さも楽しからずや、である。

 メインのグランエーシェゾーで赤の頂点へ。力強く身体をのけぞらせるアロマは、強烈にして怪しげなヴォーヌ・ロマネの特徴をがっちりとつかみ、奥深く、充実した味わいを醸し出している。ソムリエ某氏をして、うわわわっとのけぞらした逸品。

 ビンテージポートワインは甘いのに飲むがよく、すっきり爽やか感が大好評。宮中晩餐会の予行演習も無事終了。この味が食事の最後を静かに予告しているようでもあり、大人の演出だ。

 最後に某ご夫妻よりご提供頂いたシャンパーニュ(ブラン・ド・ブラン)で乾杯して、拍手と共にワイン会が終了した。シャンパンで終えるワイン会も、いとすばらしきである。早足で巡ったブルゴーニュワイン。いかがだっただろうか。ご参加頂いた全ての方と、ワインルーム・アーベントのスタッフ全員に感謝である。次回はよりテーマを絞って11月に開催予定。


以上


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