東北出張を終えて (2001/09/23)
 
 最近東北各地を旅して、ひとつ気になることがあった。ビジネスホテル周辺の酒屋事情である。今回の出張では、仙台・山形・秋田・青森の繁華街にあるビジネスホテルに宿泊した。駅からやや遠いそこはホテルを一歩出ればそこは夜の街であった。小料理屋、居酒屋、すし屋などサラリーマンをターゲットにした店が多くある場所である。ホテルの一階部分にはコンビニも入り、かなり便利である。コンビニは夕飯も簡単にチョイスでき、室内で酒を飲みながら一日の疲れを癒そうと思っていた。。今回の出張が一人だったのと、車での移動に疲れを感じ、軽く室内でビールを飲みながら軽い食事をしたかったのだ。

 
しかし、ふと酒を売っていないことに気がついた。数カ所廻ったコンビニには酒を置いていない。酒屋も夜が深けると閉まっている。どうしたことか。東北と言えば酒どころ。とびきりの地酒を飲むの悪くないのに。ところが赤提灯をぶら下げた飲み屋は数多くあれど、酒を売っている店がないのだ。ホテルにはビールは売っているが、妙に高く、今一つ触手は伸びない。駅のキオスクまで買いに行かなければならないようだ。しかし駅のそこも21:00を過ぎる頃には閉店しており、自販機さえなかった。これはどうしたことだろうか。

 思うに、町興しの一環と未成年者への酒類販売の規制だろう。コンビニで酒を買われては一帯の飲み屋街に少なからず影響を及ぼしかねない。居酒屋で酒を飲めば3,000円程度はかかるだろう。お父さんのための1300円お疲れ様セットのようなものあるが、盃を重ねればそれなりの金額にはなる。それがコンビニならおつまみ程度で1000円で収まる。街の活性化のためには宿泊客の財布の紐をいかにひも解くかにかかっている。コンビニでの安易な酒類販売は、ホテルに近いだけに脅威なのだろう。
 また夜遅くに歩いているのは、若年層も多い。ギター片手に地面にしゃがみこんで、尾崎やゆずのような歌を自己陶酔しながら歌っていたりする。たまにうまいなと思うこともあるが、大抵は港辺りで練習したほうがいいと思われる若造のほうが多い。街は若者たちで溢れ、明らかに未成年者と思しき人々がたむろっている。酒税法改正の影響を受け、未成年者に酒を売るととんでもないことになる。ならば自販機は撤去して、コンビニでの販売もしないのだろう。山形県は月山の麓、国道の自販機では珍しく酒を売っていた。しかし何やら見なれない装置がある。免許証を挿入して年齢確認しないと酒が買えないシステムのようだった。なるほど、そこまで徹底しているのかと思うと涙も出てくる。

 とにかく一日中車を運転していて、寝る前に軽く飲みたい気分なのに、酒がない。県庁所在地のその県を代表する街にして、酒がない。定価より100円以上高いホテルの自販機ビールは生き方として飲みたくない。おのずと街をさまよい続けることになる。仙台、山形では寂れた酒屋を発見しビールをゲット、青森ではついぞ見つからずホテル前の客が誰もいないたこ焼きやさんでコップ200円の生ビールを楽しむ。そして秋田では、うまいもんツアーでおなじみの駅前「ふうかきや」にて芋煮汁を頂きながら能代の酒をのんださ。うまかったさ。
 ホテル周辺の酒屋事情に翻弄されつつ、東北の涼しげな夜は深けていったのだった。


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