身体大切に (2001/09/29)
 
 それはある日突然やってきた。埼玉県某所にて遅い夕食をすすりながら、テレビなんぞを観ていると急に腹部に違和感を覚えた。痛い。胃が硬直し、微振動しているような感覚であり、非常に痛い。胃の形がはっきり分かるほどの違和感。胃を誰かにぎゅっと握られているかのような収縮感。痛み。その場に座っていられず、床にひれ伏し、這いずり回るほどの苦痛に襲われる。全身の筋肉を硬直させないと、この痛みをやわらげられない。息をするのも苦痛が伴い、全身に力をこめて、激痛の時間がただ通りすぎるのをじっとこらえるのみだった。しばらく、のたうちまわった挙句ようやくたどり着いたのは、仰向けになり腰の部分に枕を置いて腰を浮かせるというものだった。体操のブリッジを継続させることでしばらくは痛みも和らいだ。

 小一時間格闘の上ようやく痛みも緩和され、昼間の疲れに誘われるように、寝につく。翌朝明らかな睡眠不足を自覚しながら職場へ行くも胃の辺りが気になってしかたがない。痛みこそ引いてはいたが、あの激痛に再び襲われやしないかと、気がきではなかったからだ。朝食は全く受け付けなかったが、昼間のお弁当はなんとか完食できた。なんとか治ったかもしれない。ほっと力も抜けたりする。

 この症状が下痢ではないことは、トイレの個室で明らかだった。なかなかいい感じの・・・である。しかしおしっこが明らかに濃い。茶色系の黄金色はとろみ感もあり、血尿の可能性を予感させていた。便器に流れる濃い目のおしっこは、ちっょとびっくりするくらい粘り気を伴っていて、ちゃんと水で流れるか心配なくらいだった。腎臓系の急性何とか病かもしれない。あとで病院に行ってみよう。その前に大量の水を補給しておこう。以前その手の病気にかかったとき、某美人看護婦に水の補給をするように促されていたからだ。あの美人看護婦は今ごろ何をしているのだろう。完治したら飲みに行く約束はいまだに守られていなかったりする。

 痛みもなくなり、なんとかなるかもしれない。ふと気が緩んだ夕暮れ時、再びそいつはやってきた。昨夜の激痛と同じ痛み。これはまずい。すぐさま病院に駆け込んだ。職場の隣が病院で良かったと思える瞬間だった。その病院は風邪をひくたびに訪れていたし、コンビニでも看護婦サンとは挨拶する仲だったので、また風邪ですかといきなり聞かれてしまった。いやいや。今日は違うんです。胃の辺りがこうぎゅっと痛くて、、、まだ病状を伝えきれていないうちに診察室へ案内された。まあいいか。医者にも風邪ひきましたかと尋ねられ、再び胃の辺りがこう、、、同じ説明を繰り返した。診察台に仰向けになり医師の診断が始まった。お腹をポンポン叩き、そこは痛いそこは痛くないの問答が終り、今度は背中の番。ああ。胃痙攣ですね。食べ過ぎかな。

 淡々と語る医者と腎臓系の病気を訴える患者。会話はすれ違ったまま終り、注射一本と薬をもらって職場に復帰することとなった。おしっこは濃いままだったが、なんだかんだ言って胃の痛みはひいていった。夜中もう一遍激痛に見回れはしたが、なんとか回復するにいたっている。おしっこの色も徐々に薄い輝きのある金色に戻りつつある。

 ふう。何とかなったみたいだ。でもどうしてこんな目に合ったのだろう。そう言えば先週、もうこれ以上食えないという夕食をニ回経験して、ワインも数え切れないほど飲んでいた。食べ過ぎ。飲みすぎ。原因はこんなに分かりやすい。
 食欲の秋は始まったばかりだ。不摂生はやめにしよう。すべてはおいしい食事を楽しむために。集中力を持った食事を心がけよう。そうすれば、ワインの本数に比べて圧倒的に少ないドリンキングレポートも充実するだろうから。飲みすぎて筆が追いつかないことを胃痙攣のせいにしつつ、落ちのないコラムが・・・・。落ちがない。
 胃の形が分かるほどの痛みがあったら、それは胃痙攣かもしれない。その一言が伝えられれば幸いさ。ちなみに背中にピラミッドの石が積み重なるほどの痛みがあったなら、それは急性腎盂炎かもしれないさ。腎盂炎については後日別の機会に。


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