香港宝くじ (2002/01/31)

 
 先日、旧住所宛ての文章が転送されてきた。AIR MAIL便の中身は香港宝くじが14.4億円当選するかもしれないというお知らせだった。おおお。なかなか微妙な手紙である。手紙によれば確保された12桁の番号を登録すれば、1等賞金3.6億円の香港マーク6宝くじに4回抽選されるそうである。賞金総額は合計で14.4億円である。グレイトな話ではないか。手紙によれば、当選は公表されることなく、配当まるごと100%は新しいマイホームや世界旅行、真新しいスポーツカー、教育費、ゴルフの会員権など、具体的な使い道をアドバイスしてくれながら、すべて好きなように使えるらしい。同封の資料には三年間無職だった夫婦の1億4502万6000円1等的中の喜びの声が満載である。印刷の加減か、妙に貧乏くさい主婦の汚らしい笑顔が今までのご苦労を忍ばせてくる。ほかのカオナシ系の当選者も数名紹介されていて、当選すればここに私の顔写真も紹介される可能性をほのめかせれると、心も浮つくというものである。私も当たりたい。どうすればいいのか。なになに。同封の申込書に、2000円を添えて香港のアドレスが印刷されている封書を投函するだけではないか。安い。2000円なら1等賞金100万円程度のスピード宝くじもわずか数枚しか買えない金額だ。ラッキー。んん。しかしである。この手紙の有効期限が指定されている。表面には14日以内とあり、裏面には20日以内とある。どちらが本当だろうか。14日以内ならすでにこの話は終わっていることになる。20日説を信じよう。申込はいたって簡単で、専用用紙の「はい 当選したいです」にチェックを入れて2000円を入れるかクレジットカードの番号と有効期限を記入するだけでいい。おっとさらに親切にも、500万香港ドル以上当選した場合に電話連絡の希望時間帯まで記入する項目がある。500万香港ドル未満は国際有料電話で24時間受け付けてくれる。いつでも問い合わせ可能だ。誕生日にはバースディカードも届くぞ。さらに今ならボーナス特典として抽選一回が無料で追加されるという。切手代もかからないから、早速手続きしよう。国内の窓口はないが、香港に返送すればいいのだから。小さい文字で、法的な解釈は日本語版にはなく、原文の英語版に有効性があるというが、英文そのものは添付がないので確認しようもない。しかし、ここまで親切にアドバイスしてくれた方を疑ったりしてはバチも当たろうというもの。配当に当たらずバチに当たってどうするさ。「はい」にチェックを入れて、「いいえ 何億円も当選する必要はありません」に訂正のバッテンマークをいれて。。。さあ。

 と、思っていたら肝心の私の名前が違う。微妙に違う。さらに住所も番地の数字とマンション名が違っている。あああ。これは私宛ての手紙ではなかったのだ。ぬか喜びとは、まさにこのこと。寂しいさ。開封してしまったことを詫びつつ、郵便局に届に行かなければ行けないのかと思うと、やたら寒風が身にこたえたりする。郵便局からの帰り道、僕はふと考えた。今回の手紙はご縁がなかったのだ。きっぱりあきらめよう。改めて私宛てに再送付するという親切は遠慮せねばならない。この出来事は一日も早く忘れたい。したがってこの手の類の手紙は受信拒否してしまおう。絶対送らないでもらいたい。もうぬか喜びはごめんだから・・・。怖いお兄さんもよこさないでほしいと思う。私は神に見放されたということで。。。んん。そうだ。私には拾う神がいた。昨年の年末ジャンボ宝くじの当選金を払い戻してもらえるのだ。日本全国の売り場で即金でもらえるのだから、大いにありがたい。3枚も当選しているぞ。


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