浴室のなぞ (2002/02/14)

 
いつものように(?)フランス語を勉強しているときの話。いつものように(?)フランス語の辞書をぺらぺらめくっていると風呂場の挿絵のページが目にとまった。風呂はフランス語でBAINといい、ワインのVINとの違いが日本人には難しかったりする単語だ。下唇を軽くかんでヴァと発音するとワインになり、はじけるように発音するとバン、浴室という意味になる。
 挿絵には、浴室(une salle de bain)とタイトルが打たれ、洗面台(lavabo)、シャワー(douche)、湯船(baignoire)、タオル掛け(porte-serviette)、換気扇(ventilateur)、便器(cuvette des cavinet)、トイレットペーパー(papier hygiénique)などが図入りで紹介されている。フランスではトイレと風呂場は一緒になっているのだ。そういえば、過去の貧乏旅行で宿泊した部屋もみんな似たような配置だった。旅先のエピソードが鮮やかに思い出され、すっかりフランス語の勉強もそっちのけになってしまった。挿絵にはもうひとつの設備についても触れられていた。旅先でいつも何のために使うかわからなかった設備だ。洗面台よりも低い位置にあり、機能的には洗面台とほぼ同じで、蛇口をひねれば水がたまるような設備だ。その設備はフランス語でBIDETという。日本語でビデ。発音そのままやんと思いつつ、bidetをひいてみた。男性名詞。ビデ(またがって局部を洗う洗浄器)とある。んん。うまく飲みこめない。つまりは○○の時に○○した場合に○○するための設備ということだろか。「またがって」を想像するととんでもない絵柄が頭をよぎる。そしてふっーと思う。その設備はTシャツや靴下やパンツを洗濯するには位置が低すぎて使い勝手が悪く、おしっこするには隣に便器があるため、何も使わずにいた。使わなくて良かったのだ。一歩間違えれば、洗濯しかねなかったが、そういう設備だったとはついぞ知らなかった。危うく・・・。日本の浴室にはまず見かけることがない設備だけに、文化の違いにびっくりだ。このコラムをこれ以上書きつづけると、私のイメージに合わなくなってくるので、なぞが解けたところでやめておこっと。

挿絵 : クラウン仏和辞典 第4版( 株式会社三省堂 ) 125ページ参照

おしまい

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