秘密兵器 (2002/02/20)

 
 我が家の秘密兵器の活躍が目覚しい。年始の福袋に入っていた景品を無償で譲受けたもので、電池が別売りだったのでしばらく使えずにいたが、ようやく電池が買えたので、その活動に陽の目があたることになった。この装置はオフィスには必ずあるものだが、家庭にあるかどうかは疑問だ。少なくとも我が家には全く縁がない製品だった。その装置とは、電動シュレッダー(レターオープナー付)だ。

 人は不要になったクレジットカードの明細やコンビニで支払った電話料金の領収書など、どの様に処分しているのだろう。住所や電話番号、クレジットカード番号など外部に漏らしたくない情報の管理にはどう対応しているのだろうか。例えば丸めて捨てたゴミの中に自宅の電話番号があったとしよう。心無い人にそのゴミをあさられ、その電話番号によって在宅の有無を確認されて、不在のときに空き巣に入られたり、在宅のときに包丁持って進入されたりする心配はないのだろうか。クレジットカードの番号から偽造カードは造られやしないか。女性の一人暮しならもっと危険だ。洗濯物に男性用パンツを添える程度の防御では、個人情報の流失による損害は防げない。不在中に隠しカメラや盗聴器をセットされたりする可能性も、個人情報の流失が原因となりかねないからだ。銀行の残高明細など不用意に捨てようものなら、貧乏があっという間にばれてしまう。恥ずかしいではないか。

 そんな個人情報を外部に漏らさず処分するには、なんといってもこの電動シュレッダーが役に立つ。細かく裁断された書類から個人情報を探ることは不可能だ。この装置さえあれば安心して捨てられる。今までのようにギュウギュウに丸めることも、ちぎり捨てることも必要ない。ただ資料をセットしてスイッチを押すだけ。いとも簡単に書類は裁断されていく。逆回転モードも完備しているので、詰めすぎても大丈夫。さらにはレターオープナーもついているので、封書をあてがうだけで、するりと開封可能だ。なんて便利なんだ。ジコジコと電動カッターが回転するさまもかわいげだ。捨てられずに困っていた書類が、あれよあれよと細断されていくぞ。ほかに何か切るものはないか。ほかに捨てたい情報がないかと、広くない部屋を探し回ってしまう姿が、カオナシ的で意味ありげな姿だったりする。

 ただ単三電池4本で動くため、パワー不足は否めない。葉書3枚重ねるともう動かない。封筒も中身を出さないと進まない。大きな封書は入らない。折りたたんだら厚くなり歯が進まない。住所のところだけ切り取ってから裁断する手間が面倒くさい。たまったゴミをゴミ箱に入れようとすると、うまく入らず床に紙くずが散らかる等々問題点も多々あるが、電動で動くという特徴を最大限に利用すれば、必ずや我が家からの個人情報の流失は防げることだろう。また側面についているレターカッターも、そのゆっくりとしたスピードは、プラスチック製のお気軽器具に容易に負けてしまうが、そういう些細なことは目をつぶろう。この秘密兵器を使いこなせるかどうかは、使い手次第だからだ。

 そろそろ我が家からは捨てられる個人情報が無くなりつつある。誰か捨てたい情報はないだろうか。私が出張サービスしてその情報を捨てあげたくなっている。特に麗ら若き女性の個人情報など、大切に扱わなければならないはず。そんな容姿淡麗・才色兼備な女性宅に訪問して、大切な情報を裁断してあげよう。いやいや裁断するだけだから・・・。ん。おいおい。そこにこのコラムのオチを見つけようなんてあさましいぞ、の声が聞こえる。確かに至極ごもっとも。ここまで書いてなんだけど、このコラムごと電動シュレッダーにかけてしまおっかな。
電動シュレッダー
使用前
電動シュレッダー
使用後
愛用のプラスチック製
お気軽カッター

おしまい

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