最新版うまいもんツアー (2002/08/03)

 
 某日、関西地方へ。久しぶりの大阪である。実に久しぶりで、ふと気付くと梅田に観覧車ができるかできないか頃を最後にして、大阪は通過するだけになっていた。これはイカンと思いつつ、何年かぶりに大阪でご飯を食べることにした。結論から言えば、大阪に食文化は今日も健在。まさに其処は「食」にこだわる街であった。

<カンテキ>
 地下鉄谷町線または堺町筋線を南森町で降りて、FM802のビルから国道1号線を背にして天神橋筋商店街を歩いてみよう。一つ目の切れ目を右に折れて、酒房百番の向こう側に元気よく明りがついているお店こそ、焼肉の名店カンテキだ。そこは、ちょうど堀川小学校の裏手にあたる。頂いた名刺によれば、2階にはうどんちりや鴨料理を食わせてくれる店もあるらしいが、まずは一階の焼肉屋さんから攻めてみたい。メニューをみても関東のそれと大差はないが、ここはひとつ一人あたり5000円のファミリーセットを注文してみたい。関東と関西では何が違うのかをセットという形で眺めれば、いちげんさんでもその違いを堪能できることだろう。注文すると七輪が運ばれ、続々と肉や野菜やキムチが運ばれてくる。油断しているとテーブルに置き場がなくなるが、慌てずゆっくり楽しみたい。あっという間に並んだお皿の中に、ウイスキーの水割りセットについてくる氷が目に入る。この氷は何に使うのだろう。素朴な疑問をマダムに尋ねると、火力が強すぎて網から炎がたちこめてしまったときに、そっと網に乗せればいいとのこと。そうすればたちどころに炎は消える。なるほど、みるみる小さくなる氷はあらよという間に炎を消していくから不思議だ。肉に氷をつけると真っ黒になるから注意してねといいながらマダムは笑顔で去っていく。そして数種類の肉をレモン汁、たれ、味噌などで頬ばると、肉本来の甘さにぴりりとした味わいが加わって頬がとろけそうなくらいおいしい。テーブル一面に並んだ肉が次々と胃袋に納まっていく。はっきりいってうまい。どううまいかは、行ってのお楽しみ。ひとつだけお薦めを紹介すると、ウルテ(喉の軟骨)だ。コリコリした食感が新鮮である。一見普通の焼肉屋さんだが、ここまでうならせるとは、くいだおれの町、大阪そのまんまだ。ちなみに関東ではカルビが人気だが、関西ではロースのほうが人気が高いらしい。

 補足として加えるならば、このお店に予約するときに、あるおまじないを伝えるとファミリーセットがかなりの割合で安くなる。それがどんな言葉だったか、どうしても思い出せないので、困っている。定価で食べても全く安さを実感できるので、たいした問題ではないけれど・・・。この店を紹介してくれた某美人営業レディに感謝である。彼女はコピー機にも精通しているらしく、コピー機の相談にも親身にのってくれるからありがたい。


<百番>
 カンテキのとなりの酒房百番にも寄らずに帰れない魅力かある。一見普通の居酒屋で、どこから見ても居酒屋である。しかし、ここのおにぎりがうまそうなのだ。鮭のおにぎりは鮭の混ぜご飯を握った系のそれで、色艶からして見るからにうまそうだ。仕事の都合で焼肉屋に間に合わなかった某氏と、あらためて軽く飲むためにその店に入ったまではいいが、いかんせん腹いっぱい食べてしまったあとなので、どて焼きをつまみにビールを飲むしか胃袋に余裕はなかった。某氏が腹減ったからといきなり食べ出したおにぎりのうまそうなこと。何で胃がこんなに小さいのか、悩ましげな夜は静かに深けていった。結局つまみもそこそこに出てしまったたので会計も一人千円だった。なんかいいぞ。

 しかしこの天神橋筋商店街も魅力的だ。天六、天五もいいけれど、ここ天ニもいいではないか。このひたすらに長い商店街を端から攻めていくのも大阪のくいだおれの精神にあっているような気がする。ちなみに百番のちかくに古本屋があるが、其処の店員の大阪弁も心に染みるほど素敵だ。客そっちのけで携帯で電話しまくる女性店員は、憎めないほどの大阪弁でついついその会話の中身を聞きたくなるほどだ。立ち読みするつもりでそんな彼女の大阪トークもいいぞって悪趣味かな。


<お酒ギャラリー>
 国道2号線を新御堂筋で左折して一つ目の信号の向こう側の左手にある。一見お洒落な日本酒バーで、創作料理と純米酒の組合せは格別だ。キタの繁華街から少し遠いが、静かに飲むにはいいお店。ただここに来る前の居酒屋さんも相当レベルが高く(店舗名不明)、ぐいぐい飲み食いしてしまったので、どんな料理が出てきたか今一つ記憶がないところが辛かったりする。今度大阪に行くときは、まずこの店からはじめたくなる。日曜日以外の夕方五時からやっているので、おいしいお酒をカッコよく飲むなら、おすすめだ。


<180円ラーメン>
 久しぶりの大阪の街。キタの一等地は駐車場があちこちにできていて、車の止め場所に苦労はない。不景気なのかなと思いつつ、駐車場と同じくらい目に付くのが180円ラーメンの看板だ。180円といえば、名店シリーズのカップラーメンより安いぞ。いったいどういうことだ。ここは行くしかないだろう。腹いっぱいの胃袋をさすりつつ、180円ラーメンを注文すると、ごく普通のラーメンどんぶりに、ごく普通のラーメンがよそられていた。これで180円ってすばらしい。秋田にかつてあった100円ラーメンよりラーメンらしいぞ。味については酔いすぎてて、記憶にないが、ここで水を頼むとき「淀川の水ください」といえば、深夜営業のつかれたバイト君ににらまれそうなので、やめたほうがいいかもしれない。


<京橋駅そばの立ち食いうどん>
 NOVAの前の角に立ち食いうどんがある。かけうどん一杯200円だから東京に持ち帰りたいくらいだ。関西風味の薄いおだし系だが、そこは200円。味わいよりも熱いうどんを冷房のあたり過ぎで冷え切った体に流し込もう。ふう。京橋から始まる朝もある。そんな味だ。ちなみにかき揚に卵をつけるとスタミナうどんと命名されるから不思議だ。なお、全く余談ながら開店準備をするNOVAのお姉さんは二人とも美人だった。



ここからは京都へ
<餃子の王将>
 京都といえば、餃子の王将だろう。最近は関東にもかなり進出しているが、関西のそれとは味が違うような気がするのは私だけではないはずだ。かつては餃子定食に餃子を追加して食べたものだが、時代は変わっても餃子は変わらない。だから京都で食べる食事に、最低でも一回はここの餃子がないと、どうもケツのすわりが悪かったりする。何しに京都に行ったのと質問されて、うまく答えられない自分は認めたくなかったりする。

 今回の店舗は立命館大学と石庭で有名な龍安寺のちかくにある。ここは金閣寺に行くときにも寄らせてもらっていたが、駐車場がないのが珠の傷だったりする。ここは餃子の王将で最もメニューが多い店としても有名で、ビートルズを聞きながら食べる中華もおつである。しかし、ここの店には、餃子定食がなかった。餃子二皿分の定食は用意している店としていない店があることをすっかり忘れていた。この店には、ないのだ。仕方がないので違うものを注文したが、遅れて入ってきた大学生が餃子単品を注文しているから泣けてくる。その手があったか。定食の固定観念が、餃子の王将最高の単品メニュー「餃子」の存在を忘れさせていた。がっかりだ。こんどは単品餃子を三皿頼んで私の欲望を満たそうではないか。ちなみに餃子は一皿100円フェアーだった。ますます泣けてくる。チクショーだ。

 なお前述の某女史によればJR神戸線甲子園口の甲子園側の商店街にあった餃子の王将は火事で燃えてしまったらしい。その事実は私にはひどく悲しい知らせだった。あの青春の味が・・・、ってほどでもないのだけれど・・・ツレ。


<いづう>
 祇園いづう。鯖姿寿司の老舗。四条通を八坂神社の手前、健仁寺で左折してしばらくしたところに「いづう」がある。道は一方通行のため四条通からは直接行けないが、店舗の前に100円パーキングがあるので来るまで行っても便はいい。歩いていく場合は、四条河原町から鴨川を渡って信号三つ目あたりを左側に行くとすぐだ。ちなみにここで右に折れると「はまだ」がある。

 厚い昆布で巻きこまれた鯖寿司は、最高級の食材をふんだんに使った名品。ご飯は滋賀の江州米、鯖は日本海の油の乗った真鯖、昆布は利尻とくる。2人前で1本の押し寿司は4200円もするが、その価値は十二分にあるだろう。店内で食べることもできるので、一人前6切れの2100円をお茶ッこと楽しむのも、祇園の世界を堪能できてちょっといい。祇園に歩いて行けない町に住むものとして、極たまの京都旅行で風情を楽しむのも悪くない。ところで巻かれていた昆布は外して食べるのだが、こいつと日本酒の組合せは史上最高級的だろう。車で行くとお茶でしか楽しめないので、ノンベイには辛いところだ。少ししょっぱいのでお茶だけで全部食べるのは厳しかったりする。

 ここは電話一本かけてから行くのがいいだろう。今回はアポなしで訪問したために、予約のお客がお店で待ち合わせているのだろうと勘違いされ、しばらくは、ほったらかしにされてしまった。丁重に謝られたが、電話1本でそんな気苦労をかけることもなくなるだろう。ちなみに電話番号は大抵のガイドブックに載っているので、ここでは割愛しよう。どうしても知りたい人は私あてメールください。頂いたパンフによると火曜日は定休らしい。夏場の配達も温度管理ができないので、やっていないという。冷蔵庫で保管するとご飯の風味が台無しになるためらしい。


<おまけ>
 京都は美観の条例があり、派手な装飾は控えられている。マクドの愛称で親しまれるマクドナルドの看板も茶色系のそれであることは有名な話だが、近頃合併して誕生したUFJ銀行の看板も赤系ではなく、白ベースの違うバージョンだった。いつもと色あいが違う町並みは、京都らしさでもある。 


 今回のうまいもんツアーに際し、いつも美しい某女史、米子で鬼と呼ばれたこともある某氏、10年以上も変わらない憎めない性格の某氏、突然の来訪にもいつもの笑顔でアイスを薦めてくれた某氏、そしてフウライの某氏に感謝である。


おしまい

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