NANJAMAN (2002/08/03)

 
 今回のコラムではマイブームのナンジャマンを取り上げてみたい。
 
 日
本のレゲエを語る上で、欠く事のできないアーティストが大阪出身で神奈川に拠点を置くNANJAMAN (ナンジャマン)だ。ストーリー・テーラーとしての地位を確立しつつあるアニキの待ちに待ったCDがようやく発売された。タイトルは「STRAIGHT UP」だ。ハマのアニキや湘南のアニキとして、その知名度は20代前後の女性達のハートを射止めているが、うちらの世代の人たちにも共感を呼ぶその魂は、かつて尾崎の叫びに打ちひしがれた経験があるものなら想像できることだろう。三木道山の登場で日本語レゲエもメジャーになりつつあるが、このナンジャマンを押さえておけば、若い子とのトークも盛り上がり、ひいては言葉にできなかった自分の叫びを代弁してくれるナンジャマンに熱い思いを覚えることだろう。ここでは名曲の幾つかを紹介してみたい。

 かつて尾崎豊が「I LOVE YOU」を歌ったようにナンジャマンは、「行きたきゃ行け」を叫んでいる。同棲中の彼女が彼の元を去ろうとしているとき、ナンジャマンのカッコイイ心境がダイレクトに伝わってくる名曲だ。いつのまにか枯れていた花が、時の流れを知らせてくれると共に、ナンジャマンなりのカッコイイ女の愛し方が男気だったりもする。

 「THURE - KINGSTON 20 MIX」は日本語レゲエを代表する回想モノ。今まで生きてきて仲間になった友との出会いと別れを綴りながら、彼らとの再会を願うナンジャマン。登場する仲間は実はナンジャマン自身の生立ちそのものではないかと思わせる詞が泣けてくる。「どんなに遠く離れていても 俺達は必ずまた会うだろう」としめくくるナンジャマンの魂に激しく共感する。

 「NAH LOOK BACK」では、壁に砕かれ、くじけそうになったヤーマン達に、目ん玉が前についている理由を教えてくれながらナンジャマン流に励ましてくれる。

 またまだ紹介したい歌があるが、ナンジャマンの歌をダイレクトに聴いたほうが心が震えるはずだから、ここらへんでやめにしよう。とにもかくにも14曲のナンジャマンに身体振るわせながら、心臓をバクバクいわせながら、ナンジャマンの魂の叫びを細胞に埋め込もう。普通のサラリーマンとは全く違う生き方をするナンジャマンを、なぜか一般サラリーマンこそ聞くべきだと思うのは不思議な衝動だ。ナンジャマンの歌に登場するワルや落ちこぼれやヒーローたちは、もしかしたらエリートコースを歩むサラリーマンとは対極にありつつ、かつて見下した存在だったかもしれない。

 学校では自分達のほうが遥かに成績もよく、先生に褒められるのも自分達だったとしても、卒業して何年かして、実社会では見下しがちだったアイツらが誰よりも輝いて見えるのは、感慨深い。自分達がえらくも何ともなかったことを、きちりと気付かせてくれるナンジャマン。先生に誉められたのは要領がよかっただけ、テストの点がよかったのは理解するスピードが速かっただけ。ちっともえらくなんかない。時間の配分だけや。野菜ジュースでは取れない栄養がある。ビタミン剤にはないパワーがある。自分の道に迷いを感じたら、ナンジャマンの男臭い歌声に耳をすまそう。レゲエのリズムと共にナンジャマンの魂が聞えてくるはずだ。そして自らの道にも・・・。

 ナンジャマンと、ばかをやったり、街を流したことがあるヤツラがとてもうらやましく思える名曲にガツンと体を預けよう。

      


 
HMVやTSUTAYA、新星堂などのショップにきっとある。


おしまい

目次へ    HOME

Copyright (C) 2002 Yuji Nishikata All Rights Reserved.