今夜いつものバーで (2002/09/12)

 
 自分的には第二次シングルモルトウイスキー マイブームの到来である。第一次ブームから約三年。何やら新しい波が押し寄せている。第一次ブームの時は、都内の、例えば赤坂や六本木あたりのお洒落なバーを見つけたり、紹介されたりして大いに楽しんだものだ。ホテルのバーにもよく足を運んだ。それは結構お気に入りだった恵比寿の某高級ホテルのラウンジが変更されるまで続いた。そこのバーのスタイルが変更され、足が遠のいたのと時を同じくして、本格的にブルゴーニュワインに集中したりした。意外に早くブームは終わり、まさにマイブームのひとつであった。

 今回は地元・神奈川に点在するバーがマイブーム。店名だけを紹介すると、藤沢のNOILLY PRAT、厚木のBar Clair、平塚のReal-Barの三店だ。この三店には三点の共通項がある。まずバーテンダーが女性だということ。特に藤沢のNOILLY PRATは全員が女性で、まさに女性でも安心して飲めるお店になっている(実際女性客同士も多い)。二つ目の共通点は、シングルモルトの充実ぶりとノンアルコールカクテルが非常にうまい(うまそうな)こと。ご一緒させていただく某女史らが注文するそれをひとすすりさせてもらうだけなので、サンプル数は少ないが、かなりイケテイル。そして最後の項目、料金が都内で飲むより相対的に安いということ。実はこれがブーム再来のきっかけだったりするところが、ちょっと寂しかったりもする・・・。とにかく地元周辺にもいい店あるじゃん、である。

 三店は甲乙つけがたいほど、いい感じである。シングルモルトの種類的には藤沢にやや軍配が上がるが、カクテルやハードリカーに対する知識量は、いずれもすばらしい。間接照明の照らし方もそれぞれに個性があり、グラスへのこだわりも私には、目が離せなかったりする。

 第二次シングルモルト・マイブームの最大の特徴は、人間関係の新しい構築だろう
(バーテンダーが女性だからだろ、というツッコミはあえて無視しよう)。もちろんウイスキー自体も単一葡萄品種で造られるブルゴーニュワインとの共通点も多く、非常に興味深く、常に新しい発見がある。しかし、それにも増して、バーという異空間で働く女性たちとのフレッシュな出会い(もちろん男性バーテンダーとも)が、新たなる人間関係の広がりを予感させている。お酒の種類は違っても、お酒に惚れ込んだ人達との会話はなんて楽しいのだろう。お酒に対するこだわりと愛情がヒシヒシと伝わってくる。酒の話から飛躍して、沖縄の最新情報や「北の国から」のどこで泣いたか話まで、いわゆる隣にオネエちゃん達が座る店とは違い、なんだかとてもインテリジェンスに満ちている(「北の国から」が知的な会話かどうかというツッコミも無視・・・。そういう店も好きだろ、というツッコミもここでは無視・・・)。

 不思議なご縁が重なって、足を運んだ三つのバー。ワインで出会った人達とは、微妙に異なる人々との出会い。藤沢、厚木、平塚ともにそんなに大きい街ではないので、共通する友人や、どこの料理がうまいやら、互いに推薦しあうお店の話題も楽しいぞ。夜が静かにふける頃、こだわりの酒とともに、そんなローカルな話題がマイブームなのかもしれない。一人カウンターで楽しむ酒もいいが、カウンター越しのひとときの会話もまた楽しいのだ。くれぐれも、はしゃぎ過ぎないように注意しながら、夜は静かに深けていく。今夜いつものバーで・・・。

 さて肝心のお店の場所だが、そいつはまだちょっと内緒である。ふいに扉を開けたときに、満席だったらちょっと寂しいから
(鼻の下伸ばしながら飲んでる姿を見せたくないからだろ、というツッコミも当然無視だ)


おしまい


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