朝5時に頂く御馳走 (2002/10/07) |
東京は築地。ここに私の寿司人生を大きく変えた寿司屋がある。 早朝5時より営業開始のその店は、開店前から行列が出来るほどの盛況ぶりであった。カウンターのみ12席。隣の人との間はかなり狭く、両腕を縮めるほどの窮屈さではあるが、そんなハンデをものともしない驚異的な味わいに、今までの寿司はいったいなんだったんだろう」と疑わずにはいられないほどだった。 注文はお好みで3500円。ネタの数は十余点。一仕事してある寿司は小ぶりながら、旨み成分の塊。すべてのネタが口の中でとろけてしまい、飲みこんだ記憶があまりない。凄い寿司である。詳細は割愛するが、この味はしばらく通いたくなるほどの強烈なインパクトがある。さすが築地場内である。 この店は朝5時の開店のため、その客層も興味深かった。夜の続きでくる人と、一日の始まりでくる人が交錯する店だった。まだ冷めきらぬ赤ら顔でビールや日本酒を飲みながら食う寿司も楽しそう。近所の新聞社の社員と思しき青年も、今仕事が終わって帰る前に寄ったんすよと、馴染みの板サンと会話も盛り上がる。門前仲町あたりのカラオケで一夜をすごした可能性が高い若者達のグループも静かに寿司を食べている。かたや仕事前に早起きして、これを食べて元気もりもりといった御仁もいる。まだ日が昇らぬ東京の街で、こんな雰囲気もあるんだと東京の懐の深さを実感したりもする。 食事の時間は約40分ほどで店を出る。そこはもう東京の朝。僅かの間に日が昇ったのだろう。すでに長い行列ができている。その行列の最後尾にもう一度並ぶも良し、近所のこれまた有名寿司店の列に並ぶも良し、素直に帰るも良しだろう。我々は、腹八分目を満喫したので、銀座に向った。朝6時の銀座は人通りもなく、閑散としている。朝特有の街の音を聞きながら、喫茶店を探して反省会をと思っていたが、何処も開いていなかった。残念。せっかく銀座にいるのだから昼はグルガオンのカレーにしようと思っていたが、山手線を5周しないとつぶれない時間は結構厄介で、結局は寿司の思い出とともに帰宅することになった。 朝7時過ぎ。土曜日なのになぜか高校生の登校時間。部活の朝連だろうか。朝3時半過ぎに出発した寿司ツアーは、いつもの週末ならまだ起きていない時間に全ての工程が終了したのであった。 築地には2店の寿司屋がある。そのどちらに行ったかは、あえて内緒にしておこう。 我々が行ったのは某有名フレンチのシェフお奨めの方。そのシェフとは運がよければ朝7時頃築地で会えるそうだ。 おしまい Copyright (C) 2002 Yuji Nishikata All Rights Reserved.
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