深夜の国道一号線 (2003/02/01)

 
 ある深夜の出来事。事情があって静岡県内の国道一号線を深夜に走ることになった。静岡県は道路行政が行き届いていて、国道一号線の大部分がバイパス化している。小刻みに400円なり、200円の通行料金は必要だが、信号も少なくかなり便利な道のひとつだ。国道一号線沿線に住む私としてもちょくちょく利用させてもらっていたりする。一方で静岡県には東名高速道路があり、関東圏と関西圏の重要なパイプ役を担っている・・・と思っていた。しかし驚いたことに深夜の国道一号線はところどころで大渋滞を引き起こしているのだった。

 静岡県の国道一号線のバイパス道路は、夜10時から翌朝6時まで通行料金が無料になっている。すべての道がバイパス化されているわけではないので、途中信号もあるが、それでも夜中だとスイスイである・・・と思っていた。なんと。トラックがひっきりなしに西へ東へ走りぬけ、あたかも東名を走っているかのような錯覚に陥いるのだ。何でこんなにトラックが・・・。深夜のためナンバープレートは確認できず、どこから来たトラックがどこへ行くのかわからないが、凄い量のトラックが走っている様は異様だ。東名があるのに何でだろ。

 答えは簡単。通行料金だ。昨今の経済状勢の悪化を見れば、運送会社にとって高速料金は手痛い出費のひとつだろう。通行料金は運転手の自己負担という会社もあると聞く。割高な東名高速を避けて、無料の国道を走りたくなるのは、至極当たり前のこと。国道といってもバイパス化しているので、時速100kmでは走れなくとも50km程度でなら走れる。信号も多くはないので、比較的走りやすそうだ。しかし、みんながみんな同じことを考えるので、道はトラックで溢れることになる。合流地点では渋滞も起きている。凄いかもしれない。近隣住民の騒音問題が発展しないかと冷や冷やしたりしながら車を走らせると、いい加減疲れてくる。信号がないとはいえ、道幅も狭く、時折渋滞で止まる。私はたまにしか走らないので、いいが、これが毎日のように続くと体力が心配だ。そう。運転手の体力が心配になってきた。交通費を削減する代わりに、運転手の体力は消耗しているのではなかろうか。静岡県は東西に長く、東名を利用しても端から端まで2時間はかかってしまう。それを国道で代用するのだ。東名なら2時間でも国道なら何時間かかるかわからない。まさに体力勝負。そしてもし東京に向かうとすれば、さらに箱根の山が一層体力を消耗させることだろう。箱根八里は馬でも越すが、疲れた体にくねくね道は厳しかろう。冬場は凍結の心配もあるし、他人事ながら心配だ。そういえば沼津で国道246号にそれるトラックの方が多かったので、御殿場経由で東京を目指すのだろうか。246なら途中で東名に乗れるし・・・それにしても道のりは遠い。

 経費削減が人の体力を奪っている。運転手の体力と引き換えに、低コストを実現する世の中は間違っていやしないか。道を作る人が儲かる仕組みを変えて、道を利用する人が快適に利用できる仕組みを作るべきなのではなかろうか。運ちゃんたちの命がけのドライブによって人々の生活が安定する現実を垣間見るとき、なんだかなと思う深夜の国道一号線だったりする。

おしまい
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