吉田兄弟 (2003/02/13)

 
 某日某所で開催された「津軽三味線 吉田兄弟コンサート」に行ってきた。初めての三味線ライブであり、話題の吉田兄弟ということで非常に楽しみにしていたが、やや残念な結果に終わってしまった。

 まず何がいけないかといえば、ホールの大きさだろう。三味線という楽器の特徴だろうか、大ホールでの演奏は臨場感に欠け、音の振動が伝わってこなかった。例えば板張りの座敷などで拝聴できればよかったと思ったりする。次にパーカッションなど3種類の楽器との競演というスタイルも、どうも?であった。確かに洋物楽器との競演で、イケテル音楽を演奏すれば三味線を聴く人たちの裾野を広げる効果は大きく、だからこそ吉田兄弟をスターダムに押し上げたのだろうが、個人的に古典が好きかもである。華やかな照明技術だけが、目に鮮やかで、音楽的な感動に接しえずに、時だけが流れていった。そして致命的な要素は、その客筋であった。地方都市のホールということもあってか、満員の客層は年配者が多かった。年齢層はどうでもいいのだが、演奏の途中で、かくし芸大会よろしく、見せ場の弾き語りのところで、途中で拍手が起こってしまうのだった。演奏途中で沸き起こる拍手は、大変よく出来ました的であり、まさに聞かせどころのはずなのに肝心の演奏が聞こえないという事態になった。なんだかな。さらには演奏途中で雑談を交わすおっさんと、それを注意する客で注意力散漫。なんだかな、である。

 音楽を楽しみにしていたのに、なにやら温泉場の隠し芸的な催し物になってしまい、たとえば千住真理子で心振るえ、目に涙した音楽の魅力とはまったく縁遠い演奏会となってしまった。期待が大きかっただけに、寂しさも募るというものだった。吉田兄弟の大いなる魅力はどこに行けば楽しめるのだろうか。洗練された場所で、静かにもう一度聴きたいものである。

おしまい

目次へ    HOME

Copyright (C) 2003 Yuji Nishikata All Rights Reserved.