ご飯を巡る冒険 (2003/02/19)

 
 やはり一日3コラムは無理があるので、ぼちぼちと・・・。

 某日、東京に出かけた。珍友? クリストフ・ペロ・ミノ氏が来日し、久しぶりに会うためだった。その時の模様は別の機会に譲るとして、今回はその日の昼ごはんについて。

 場所は広尾。おしゃれな街である。夜は数回来たこともあったが、昼間は実に久しぶりだ。1時過ぎにクリストフと別れ、なぜか美女二人と昼ごはんを食べることになった。ラッキー。柄にもなく、ちょっと気取って表参道某所のフレンチレストランに電話をかけるも、その日から連休でお休みとの留守番電話。残念。こんなことなら事前にいろいろ調べておくべきだったと後悔しつつ、しかたなく広尾でお店を探した。意外においしいお店を発見できるかもしれないぞ。

 小雨も降りつつ、目のあった和食屋さんに入ってみた。おしゃれな店構えと、中で数名のお客がご飯を食べているので、まあいいかと思ったわけだ。店先に出ているメニュもお手ごろ価格で、なんとなく雰囲気も良い。愛想の良い店員さんに二階に案内されつつ、お洒落な間取りにちょっとウキウキ。とりあえず、牛タン定食を注文。連れの美女二人は、二人そろって石焼まぐろ丼を注文していた。

 牛タン定食は、とりたててうまくはないが、まあ、まずくはない。仙台の地下鉄泉中央駅の駅ビル3階、高校時代の江川卓似の店長さんの焼く牛タンには及ばないものの、まあよしとしよう。しかし、である。美女たち(クドイ ? )の頼んだ石焼まぐろ丼が、ことのほかおいしくないではないか。石焼びぴんぱ風のどんぶりなのだが、石製どんぶりの温度が中途半端なためか、なんだかぜんぜん焦げ目も出来ない。まぐろも妙に半焼けで、ご飯に味もなく、メリハリもない。女性店員の目もそぞろで、お客よりもタイムカードに重きを置いたような視線が辛い。なんだかとってもしらけたムード。石焼とはなんたるか、平塚某所の某焼肉店に連れて行ってやりたい気分を押さえつつ、そもそも石が割れている。割れた石では飯も食えんぞ。それでいて量だけはしっかりあるので、食べ切れなかった分をああんと頂戴するものの、一口食べてなんだか要らないというつれない返事をしてしまった。せっかくの美女との食事というのに、これでは愛も育めない。

 妙に会話の少ないご飯の後にコーヒーがくる。100円だったので、思わず注文したものの、薄口のアメリカンをぐらぐら煮詰めたような味わいは、うすっぺらく、いまどきこんなコーヒー探す方が難しそうだった。コーヒーも駄目だった。テーブルの会話がますますなくなっていく・・・。

 もう来ないと思う。

 広尾に用事があって、この界隈を徘徊(パトロール)することが予想できるのなら、店長にまずいと提言したかもしれない。もう一度この店に来るかもしれないからだ。しかし、広尾に用事はない。それゆえ波風立てるのもどうかと思い、店を出た。寂しかった。こんなんなら、となりの寿司屋のほうが良かったかも。しかし、寿司はお気に入りの某店を知ってしまった以上、無闇に開拓できなくなっている。あの寿司よりうまい寿司は、とびきりのネタが入った朝の同じあの寿司しかないのだから。

 広尾での和の新展開を期待しつつも、今回は惨敗。
 ご飯はおいしく食べたい。おいしいご飯が食べたい。女性といるなら、なおのこと。

 んんん。こうして食を巡る果てしない冒険は続くのだった。


おしまい

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