「そして音楽が始まる」 (2003/03/03) |
テレビ東京系列 日曜夜10:54からの30分番組「そして音楽が始まる」が面白い。
今宵は、ゴダイゴの「銀河鉄道999」だった。先週はハウンド・ドッグの「ff(フォルティシモ)」、先々週は、爆風スランプの「Runner」だった。この番組は、泣けてくる。音楽の誕生に秘められたエピソードを紹介する音楽番組なのだが、その名曲誕生の見えざる背景を、ドキュメントタッチにこうも見せつけられると泣けてくる。私はこの番組の製作者が誰なのか、まったく知る由もないが、過去に紹介された曲目から想像すると、明らかに同世代か、ひとつ上の世代の人が、昔のいわゆる青春時代に毎日、毎晩のように聴きまくった音楽を、ようやく自分が好きなように番組作りが出来るようになって、作ったとしか思えなかったりする。長年、大事に温め続けたこの企画をようやく開花させたメッセージが伝わってくる。番組制作会社に入ったのは、こんな番組が作りたかったからだと、白状されているような照れくささもあるところも、ちょっといい。 この番組で紹介される楽曲は、今もなお私の心に刻まれ、ふとその音楽を耳にするとその時の情景を思い起こさずにはいられない曲ばかりだ。「歌は世につれ世は歌につれ」30代バージョン。いい感じである。番組制作自体にはあまり金はかかっていないような作りだが、名曲誕生の秘話は金で買えない価値がありすぎるから、より鮮明な企画構成力が浮かび上がってきて、なお面白くなる。 ある曲は、バンド解散を救った最後の曲として、ある曲は人気絶頂期のスーパースターの新分野の開発だったり、それぞれ曲にまつわるエピソードは悲喜こもごもだが、いずれのエピソードにも共通するのは、「みんな当時は若かった」ということだろう。10余年の歳月を経て、髪も・・・になり、腹も・・・になり、皺も・・・になった人たち。昔はみんな若かった・・・。 名曲誕生の裏で繰り広げられた苦労話には、今でこそ言える類も多いけれど、音楽の秘めたパワーに目頭が熱くなる。その曲にすべてをかけた人たち。崖っぷちから救われた曲もあれば、その曲に押しつぶされそうになった人たちもいる。当時はその音楽に酔い、今はその裏話に酔う。そしてその曲にあわせて、今なお鮮明な当時を思い出しながら、なぜたか二番まで歌える記憶力にびっくりもする。音楽ってすばらしい。そんなことを素直に告白できたりする番組だったりもする。来週は、六本木心中か。いいぞ。 http://www.tv-tokyo.co.jp/ongaku/ おしまい Copyright (C) 2003 Yuji Nishikata All Rights Reserved.
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