フランスを巡る冒険 痴漢編 (2003/07/04)

 
 フランスの地方に行こうシリーズの第ニ回目は痴漢について触れてみたい。痴漢だけに、うまい・・・・・ほんとすんません。
 
 フランス在住の某女史によると、フランスには「痴漢」という言葉は、ないらしい。なぜか。それはその痴漢に該当する行為そのものが存在しないからという。行為がなければ言葉はあるはずもない。至極当然ではある。しかし、どうも不思議な感覚を覚えるのは、私だけだろうか。日本であれだけ騒がれる痴漢行為をフランス人が全くしないとは、とてもいいことではあるが、なんとも不思議な印象だ。世界各国からいろんな人が集まるパリ。そういえば、朝夕の通勤ラッシュ時やなぜかちっとも電車が来ないときなど、パリ市内のメトロ(地下鉄)が満員になることはよくあるが、女性が痴漢にあっている現場はついぞ見たことはなく、もちろんその逆もない。夏場は特に、胸元を強調する女性や
(ちょっとだけうれしかったりする)、ノーブラだと一目瞭然の若き女性もたくさん見かけるが(コメントは控えておきます)、満員電車で痴漢行為が存在しないというのもお国違えばなんとやらなのだろうか。

 なぜ痴漢がないのか。愛に満たされているから? 出会いがたくさんあるから? 間に合ってるから?
(何に) 屋外で身体に触ることに関心がないから? 個人主義だから??? 理由は分からないが、まあいいことなので、安心して地下鉄に乗ろう。なんて思ってはいけない。

 痴漢がいないからといって、安心できないのがパリ。たまに「腹減った。朝から何も食べてないのでお金頂戴」という紙を見せつつ、ボロをまっとた輩が徘徊したり、地下鉄臭と呼びたくなる妙な匂いが漂う通路に子供を抱えてカネを欲しがる奴らもいるが、「そんなのはこっちがもらいたいくらいだ」と怒りを表に出すことなく
(表に出すとちょっとおっかないから)無視すればいいだけのこと。問題は、地下鉄の引ったくりだ。ドアが閉まる直前にハンドバックを奪ったり、足元に注意をそらせながらポケットに手を入れてくる奴などに警戒しなければならないのだ。油断もすきもあったものではなく、盗まれたら取り戻すことはほぼ絶望なので、痴漢にあわないからといって油断は禁物。近頃は地下鉄のホームに日本語で「手荷物の盗難には注意してね(要約)」とアナウンスが流れたりする駅もあるので、相当の被害がでているのだろう。それが証拠に、海外旅行の携行品保険の保険料は結構高いので、被害総額も相当ありそうだと推測できたりする。

 そこへ行くと、地方は快適である。ローカル線が満席になることもあまりなく(自分調べ)、路線バスの乗降客も自分を含めて数人というのがほとんどだからだ(通学時を除く)。おまけに畑を歩く分には、畑作業で汗を流す人たちと、自転車で鬼のように走り去っていく人たちぐらいしか出会わない。人とすれ違わないので、痴漢のされようもなく、ましてや盗難の恐れもない。地方はいいなあと思いつつ、話の流れからして痴漢の話には戻れなくなってきた・・・。

 いずれにしても痴漢がないというのは、いいことなのである。
 (別に実感を込めて言っているわけではないが・・・)
 
 
おしまい


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