フランスを巡る冒険 トイレ編 (2003/07/08) |
フランスの地方に行こうシリーズの第四回目はフランスのトイレ事情について。
基本的にフランスのトイレは有料である。街中に簡易型トイレが設置されていたり(かなりの割合で壊れている)、駅のそれもコインを入れないと中に入れない仕組みになっている。そして総じてトイレの数は非常に少ないのが現状である。もちろんカフェやレストランに入れば、無料で使うことが出来るが、何も頼まずには出られないので、これは有料の範疇に入れたりしている。 なぜトイレ事情が、日本と違うのか。フランスの水不足が要因に挙げられると某氏に聞いた。トイレは水を大量に使うので、有料にしないと水行政に打撃を与えるためというが、真相のところは分からない。 さて、ここではお金を使わずにトイレ問題をクリアする方法を紹介してみよう。まずは、宿泊先のホテルで完璧に出し切ることをお勧めする。ホテルのトイレは宿泊料金に含まれているので、何の気兼ねもなく使うことが出来る。私が泊まるような、トイレ共同の安ホテルの場合には、紙がないケースもあるので、トイレットペーパーは日本から持参するのが賢明だろう。(そうはいっても以前に比べ紙がないケースは少なくなってはきているようだが) 街中の、たとえばパリ市内ではどうか。まず違和感を覚えるのは、ほとんどの地下鉄(メトロ)の駅にはトイレがないという事実だ。日本の感覚では駅にトイレはつき物なので、まずもって戸惑ったりする。スーパーにもない。デパートにはあまり寄らないので、確信はもてないが、確かなかったような気がしてならないが、ここら辺はちょっと不明なのでさらりと話を進めよう。ではどこで用を済ますか。私は、美術館のそれを利用している。場所がアカデミックなだけに、かどうかは知らないけれど、美術館のトイレは清潔で使いやすい。いわゆる洋式トイレが主流で、カフェにあるようなトルコ式という、床に丸い穴があって手前に足置き場があるような、どうやって用を足すのか考えてしまうスタイルのものはないのだ。紙も予備があり、手洗い場も手をかざすだけで水が出てくるような設備の充実がうれしい。パリには美術館の数が非常に多いので、必要に迫られると身近な美術館を訪問したりしている。ただ美術館は入場料を支払わないと中に入れないので、超緊急時以外はトイレ目的では入りにくかろう。ここで、とっておき情報を。ルーブル美術館である。世界三大美術館の一角を占め、ガラス張りのピラミッドで有名な、パリでも一、二を争う観光名所であるが、ここのトイレは入場料を支払わなくても利用できるのだ。ただし空港にあるようなセキュリティシステムを通過しないとチケット売り場までたどり着けないので、混んだ日などは大行列に並ばなければならないが、最大の目的地のトイレは入場券売り場の裏に、荷物一時預かり所の隣にあるのだ。大勢が利用する割りに、比較的綺麗なので、困ったときにはルーブルに行くことにしている。そしてルーブルに行く方法としては、地下鉄のパレロワイヤル駅(Palais Royal Musée du Louvre)を利用するのが便利だ。連絡通路で直結されている上に、行列も少ないように見受けられるからだ。天下のルーブル美術館をトイレ代わりに利用できたら、ちょっとパリジャンかも。(いや違うだろう) 日本の感覚では、トイレはコンビニに寄った時に、というのもある。しかしフランスにはコンビニはないので、トイレを借りるついでにガムでも買うかというような発想は出来ないのが辛い。パリ市内のトイレとしては、カフェ(地下にトイレがある)、レストラン(専用コインをくれたりする)、ワインショップ(店にはないが、近所の公衆トイレの暗証番号などを教えてくれたりする)、ホテル、映画館(チケットを買わないと中に入れない。しかも上映時間の直前にならないと中にも入れない)などがあり、お金を払ってコーヒーなり、ビールなりを頼んだ以上は手ぶらで出ることなく、必ずトイレを済ましてから出る様に心がけるといいかもしれない。また国鉄SNCFの電車にはトイレが付いているが、発進するまで鍵がかかっている場合の方が多く、むやみに利用できないところが辛い。 地方ではどうだろう。ここではブルゴーニュ地方を例にとってみよう。ディジョンから、シャニーまでのいわゆるコート・ドールのトイレ事情は芳しくない。私の知る限り、ニュイ・サン・ジョルジュの観光案内所に無料トイレがあるが、なぜか閉まっている場合の方が多く、意外に重宝していない。クロ・ド・ヴージョのシャトーの中の御土産コーナー兼シャトー入場窓口のところにトイレはあり、ここも無料だが、レジのお姉さんの視線も熱く、何か適当なお土産でも買った方がいいかもしれない。ジュブレ・シャンベルタンには公衆トイレはない(自分調べ)。ボーヌの観光案内所の裏手にもトイレはあるが、ここはチップ制であり、小銭がないときはちょっと困ってしまう。畑に出れば、用を足せなくもないが、そこには良心の呵責があり、実現も困難というものだ。 地元のフランス人男性が、街中で、例えばジョギングをしている時に、尿意を催した場合、彼らも木の陰に隠れて、用を足していたりするが、なぜだか日本人のそれとは逆向きで、つまりおしっこは木のほうにかけるのではなく、木を背にしつつ、道路側に向けて発射されたりしている。必然的に目と何とに目が合ってしまい、妙な緊張感が走ったりするから面白かったりもする。総じて少量で少しうなだれ気味かも、というのが素直な感想(サンプル数=3)。 あ。話が得意分野に行きそうなので、ここら辺で強制終了が必要だ。最後に、個人的な感想としては、旅先でのトイレ事情を相当意識して行動しているのと、そもそもフランスは乾燥した気候なので、日本よりもトイレの回数が少ないように感じ、意外に困った経験はなかったりする。ただし、トイレットペーパーは持参が基本である。 おしまい Copyright (C) 2003 Yuji Nishikata All Rights Reserved.
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