実は・・・ (2003/07/19)

 
 牛タンにも目がないんです。

 神奈川県某所(具体的な場所は言えない、本当は地球某所辺りにしておきたい)、焼肉の名店「○○
(伏字)」で一発目に注文する牛タンがおいしすぎるのだ。牛タンのイメージをドカンとさせるほど厚く切られたそれは、焼き上げるのに相当の時間を要するものの、あの歯ごたえというか、耳あたりのよさを体感してしまうと、生きていて良かったと実感せざるを得なくなる。おそらく仙台の牛タン定食に出てくるそれの3倍は厚いであろうと推測されるが、これほどの厚みはなかなか他店では食せないのではなかろうか。定番の薄く切りそろえられた牛タンも食欲をそそるが、この厚手の牛タンこそ人生に喜びを与えるのである。(自分的には)今話題沸騰中のイベリコ豚でさえ霞んでしまう。というより肉の世界の間口の広さというか、肉の世界の奥深さに感動なのである。

 某店は肉質のよさに加え、芋焼酎の品揃えも良い。口に残るあぶらを洗い流してくれる芋焼酎をロックで頂きつつ、肉・肉・肉のオンパレード状態は、しばらく続くのであった。そしてもちろん肉もうまいし、キムチもうまいし、ピビンバもうまいし、冷麺もうまいし、焼酎もうまいのだが、ここが名店たりえる所以は、従業員の接客にあるかと思ったりする。決して饒舌な語り口ではないけれど、おいしい食を届けようとするその意気込みが、心地よく、芋の効果もあいまって楽しいひと時が暮れていく。ワインとはまた違った奥深さと居心地のよさにちょっと気を許しがちなのである。しかし意に反して財布の紐まで緩みっぱなしなので、幸せな悩みは尽きなかったりもする。

 走れ。走らないとベルト周りに悲劇が待ち構えていそうである。


おしまい


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