銀座に行くたびに、寄らせてもらっている某百貨店の地下の御茶屋さんに、夏季限定の氷菓子がある。

　これは平たく言うと焙じ茶のカキ氷であるが、これが何とも上品で絶妙な甘さなのである。この氷菓子を頂くと、日本人に生まれた喜びに包まれ、そして僅かばかりの量とはいえ、夏の涼を楽しむことが出来るのだ。ふわふわのサクサクといった食感を楽しみ、店内に設けられた山葵棚の水の音に耳を澄ます。食べ終わったら、熱い焙じ茶を頂く。同じ焙じ茶ベースなのに氷菓子にするとなんでこんなに甘みが出るのだろうと、不思議に思いつつ、大東京のど真ん中で味わう清涼にしばし心和らぐのであった。

　焙じ茶の氷菓子は9月上旬までの限定。

　暑くなかった今年の夏を、名残惜しみたくなったら、銀座へ向かうべしである。


おしまい


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