レンブラントとレンブラント派 (2003/10/06)

 
 某日、上野の国立西洋美術館で開催中の「レンブラントとレンブラント派」を鑑賞してきた。

 17世紀のオランダを代表する画家レンブラントは、自画像を含む肖像画と、聖書や神話に由来する物語画を多く残したことで知られる絵画界の巨匠である。やたらと真っ暗な画面にぽっと明かりをともしたような技法は(ケアスクーロというらしい・・・)、何とも印象深く、絵画の途方もない魅力を、絵画の素人である私にもズイズイ教えてくれたりする。400年の時を経て、今なおその感動を伝えてくれる魂にちょっと身動きも取れないのだ。

 やはり絵は、「本物を見る」に限る。写真集では伝わってこない色調やメッセージが、本物の絵画からはものの見事に発信されていて、その絵の前で立ち尽くすこと、しばしなのである。(私は絵の前で立ち尽くすのが、かなり好きだったりもする。) レンブラントの表現する灯りはすばらしい。特に、蝋燭の火に翳した手の温かみのある風合いが、なぜ絵画で表現できるのか、至極不思議であり、強烈に心に刻まれる。また黄金の描き方もすばらしく、食い入るように絵画を見ずには、いられない。また、レンブラントによって描かれた人々の内面の浮き出され様も凄いの一言で、たとえば1630年作の「悲嘆にくれる預言者エレミア」のその悲嘆さは、その絵を前にすれば、否応もない。混んでいなければ、ずっとその絵の前に立っていたい・・・・。しかし押し出される・・・。辛いッす。

 レンブラントはまた、贋作または他人の作が多いことでも知られている。いわゆるレンブラント工房とよばれる弟子たちの作品は非常に高レベルで、私には皆目違いは分からない。展示されている作品に中にもそれはあり、例えばレンブラントの代表作と信じられてきた「黄金の兜の男」などもレンブラント工房の作と修正されたりしているので、プロの目をもってしても真贋はには時間がかかるようだ。このあたりの話は、なぜか内緒の話も入手しているので、ワインを飲みながらレンブラント談義に花を咲かせたかったりもする。

 いずれにしても久しぶりの美術館訪問は、怠惰な日常にちょっとした刺激を与えられたようで、結構すがすがしかったりするから、今後もあしげく通おうかと思ったりする午後の上野であった。


おしまい


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