江戸を巡る冒険 とりすき焼き編 (2003/12/13)

 
 某日。某氏に連れられて、神田須田町にある鳥すきやきの名店「ぼたん」にて名物の鳥すきやきに舌鼓。

 ここは、従来のうまいもんツアーとは一線を画す独特の空間だった。戦災を免れた昭和初期の建物全体が、すき焼きやサンになっていて、すきやきを食べるというよりは、この空間全体を肌身で感じて楽しむといった感が楽しかったりもする。池波正太郎の名著「鬼平犯科帳」シリーズに登場してきそうな、そんな江戸情緒というか、風情というか、江戸の粋を感じたりもする。かつてはこういった屋敷が日常生活の一部であったであろうが、平成の今日では、祖父の時代を懐かしむといった趣で、都会の喧騒に紛れてふとタイムスリップしたような感覚も面白い。この異空間にはちょっとしたサプライズがあるので、今度は誰かを案内したい気持ちにさせるから不思議である。

 料理は唯一のコースメニュである「とりすきやき(御飯・みかん付)」を二人前(人数分)頼むと、もうおなかも一杯で、かなりの満腹感を味わうことも出来、最高級の鳥やネギを使っていると思われ、味も満足である。畳に座ってビールを飲みつつ、低いお膳の鍋をつつくと、結構腹に溜まるもんだなうとも思いつつ、なぜ最後に「みかん」なのだろう不思議な感覚もまた、楽しい。値段は高いかなあと思うが、お座敷全体の維持費も含まれているのかなあと思うと、いい落し所的な価格設定であった。

 確か近くの「やぶそば」もこんな情緒だったかなあと思いつつ、神田の街を後にしたのであった。


おしまい


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