おいしいピッツァ 編集後記 (2003/12/20)

 
 イタリアンの名店「オ・プレチェネッラ 'O Pulecenella」を巡る冒険(空想編)

 ここのピッツァのおいしさは、本編を参照していただくとして、今回は編集後記風な空想に触れてみよう。オ・プレチェネッラの最寄り駅は横浜駅で、ここはJR東海道線、横須賀線、京浜東北線、根岸線、京急線、東急東横線、相鉄線、市営地下鉄が乗り入れる神奈川県で最も利用客の多い駅である。しかし、お店へは最寄り駅というには若干距離があり、歩いて10分以上はかかるように思われる。はまボウル(ボウリング場)の向こう側で、NTTよりもさらに向こう側の運河?沿いにあるのだ。そしてこのあたりは、神奈川県民ならそのほとんどが知るであろう「Hホテル」街でもあったりする。

 初めてのデートでおいしいイタリアンに行こうと誘って、若い男女の思惑の相違が、いろいろあって面白そうな場所柄である。女性は純粋においしいイタリアンを食べたいと思い、(実際、女性客だけのグループは多い)、そんな素敵なお店を知っていることに、「凄いじゃん」と思うかもしれない。しかし場所の特異性を意識する男性の方は食べ終わってから、いかにさりげなく、はまボウルの脇道に入ることしか考えていないかもしれない。初めてのデートでオ・プレチェネッラのおいしい料理とワインを堪能して、二人分となるとそう安くない料金を奢って、めざすべきは横浜駅ではないはずで、ましてやボウリングでもないだろう(空想)。

 食後のスケジュール調整に頭が回転し、目の前の焼きたてのピッツァに男性が集中できないのは、あまりにもかわいそうだ。予約の時点で、食事の終わる時間と終電の間の、この何ともいえない微妙な空白の時間を計算し、それを埋めるべく、思いはピッツァにあらず、はまボウルの脇道にバーチャルリアリティ。

 そんな初々しさに懐かしさを覚えつつ、やはりここではピッツァに集中してもらいたい。このピッツァは本当においしい。スタッフは(私が訪れた日は)男性陣だけで、彼らの優しいサービスと、しかし、しっかりと自信に溢れる笑顔をブルゴーニュ魂は見逃さず、そんな男心をサポートしてくれるスタッフを味方につけて、おいしい食事に集中してもらいたいのである。

 おいしいピッツァを楽しむには男性だけのマンパワーでは限界がある。そこで世の女性陣にお願いしたい。初めてのデートがオ・プレチェネッラであるならば、横浜駅から歩く途中であたらしい彼氏にそっと「食べ終わったらちょっと休んでいこうね」のさりげない会話をひとつ入れてやって欲しいのだ。その一言が、彼氏の迷いを一掃し、おいしいピッツァの味わいを共有できると信じたりする。

 そして食後は、駅まで意外に遠いことを感じつつ、運河?のために右側に行けない絶妙な道のりを共に歩き、「おいしいカクテルでも飲んでいこうよ」と駅前の某高級ホテルのラウンジを目指してやってからに、この思惑の違いを少しばかり楽しんでやれば、男の本性も見え隠れすることだろう。本当に「おいしい」を共有したいのか、ただピッツァが食べたかっただけなのか、あなたを大切にしたいと思っているのか、ただたんに・・・なのか。

 日本でも有数のイタリアンの名店は、男と女のかけひき的な、かなりいい場所にある。男と女のいろいろが、いろいろあっておもしろそうで、そんなちょっとした刺激もピッツァと共に楽しめるから、ここはデートで行ってもらいたいと思いつつ、ピッツァを食べるなら気心の知れた仲間と行きたいお店だったりもするから、常連になりたいと思うこの頃だ。


おしまい


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