105円の重み (2004/01/31)

 
 隣町の複合ショッピングモールに出かけて、銀行のキャッシュディスペンサーの行列を見て、ふと思った。

 映画館や本屋、スーパー、ミニFM局などが入居する大きなショッピングモールの一角に、銀行のCDコーナーがある。右から地元有力地銀、地元信用金庫、大手都市銀行の3つのブースがあり、なぜか地銀のCD前には数名の行列が出来ていて、信金には誰も並んでおらず、都市銀行には1人が並んでいた。このあたりに住む人たちのメインバンクの状況が手にとるように分かるような感じだが、数名の行列の最後尾に並んだ人が、無事用を済ませるのは何分後なのだろうと、余計なお世話ながら思ったのだ。仮に一人2分くらいかかるとして8人で16分。意外に結構な待ち時間だ。振込みなどが数件ある人の後ろについてしまえば、もっと時間もかかるだろう。

 隣の信金のブースには誰も並んでいないので、そちらに移動すれば瞬時に用が足せるのに、あえて自行に並ぶ行列に、親近感というか、お金の大切さをしみじみと感じたりする。仮に他銀行から自分の口座の預金を引き出すだけなら105円の手数料がかかる。他銀行から他銀行への振込みならば、もっとかかるが・・・。それが自分の銀行ならば、例え支店が違っても引き出し手数料はかからない。ということは、長い行列を作っているということは、105円の手数料を支払わないために、自分の貴重な20分なり、30分なりの時間を割いていることになるだろう。105円の損失を免れるために20分を消費する・・・。

 ある人はこう考えるかもしれない。貴重な待ち時間20分よりも敢えて105円の損失を選び、失われずに済んだ20分で105円以上を稼ぐ方策を考える、ということを。

 105円の価値観が人によってさまざまだなあと思いつつ、その横を歩く私であった。(自分はどっちだろ?)


おしまい 


目次へ    HOME

Copyright (C) 2004 Yuji Nishikata All Rights Reserved.