居酒屋メシ (2004/04/11)

 
 某日、渋谷でのワインセミナー終了後にビールでも軽く、と思ってある渋谷駅南口界隈の某居酒屋に入ってみた。地下にあるそのお店は小じゃれた個室スペースなどがあり、大学生やら何やらで賑わっていた。

 腹も減ったので、とりあえずつまみでもと思いつつ、いやな予感というよりもある確信を持ちつつ、刺身5点盛や海鮮風やきそばなどを注文してみた。ビールのお代わりを頼みつつ、ようやく届いたその料理は、おおお、なのであった。まずい。まずいのである。鮮度の問題は遠くに追いやられた感のある刺身をつまみ、チンして適当に混ぜました系の温い焼きそばなんぞを食べ、予想通りというべきかなんと言うべきか、この味はまさにチェーン店系の居酒屋メシなのであった。

 そういえば久しぶりの居酒屋だ。昔大学生だった頃、外食の典型が居酒屋だったような気がする。もしも「外食」という概念のスタート地点にこの居酒屋メシがあるとするならば、それはある意味今日のうまいもんツアーの原点かもしれないと思いつつ、昔は平気でガンガン食べてガンガン飲んでいたなあ、懐かしなあ、渋谷は昔憧れの町だったなあ、などと回想しながら、それでもおいしくはないが決して食べられないというほどのものではないお握りなど頬張るのだった。

 ラストオーダーということで会計を済ませると、意外に安くはない金額を提示された。ん。この金額にあとちょっと足せば、ランチにはなってしまうが表参道のル・ゴロワのおいしい野菜料理や、青山のレ・クレアスィオン・ド・ナリサワのサプライズ料理が楽しめそうで、何とも金銭感覚が麻痺しそうな気配であった。食に対するお金の払い方に、敏感になりつつ、同じ予算なら、おいしいごはんを食べたいと思いつつ、たまには居酒屋で煙草の煙にまかれつつ、大学生らが楽しむ食空間を堪能するのも年に一度くらいは良いかも、と思ったりするこの頃だったりする。


おしまい

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