たまには歩く (2004/05/03

 
 某日。日頃の運動不足と食べ過ぎ飲みすぎの毎日を一喝しようと、自宅から小田原駅まで歩くことにした。この区間は国道一号線で、まさに東海道53次の世界。また箱根駅伝の第四区にあたり、お正月の後輩たちの勇姿を思い出しつつ、歩くのには最適な区間かと思われた。電車で行けば320円の距離であり、路線検索ソフトの「駅すぱあと」によれば、16.1kmのようである。国道と線路は距離も違うだろう、ということで20km弱の道のりと推測された。

 この道は車でも普段はあまり通らない。というのも箱根路を急ぐ場合は、海側にある西湘バイパス(通行料250円)を選んでしまうからだ。また最近話題沸騰の中国料理家さんや温水プールはその中間地点か脇にそれたところにあるので、この距離を車で走ることは少なかったりした。

 国道一号線をただただ西に歩き続けて、気がつくことがある。それは、このあたりの国道一号線は十字路が少なく、山側で接するT字路が意外に多いということだ。これは海側の歩道を歩いていて信号の少なさから気がついた。反対側の歩道は山側から合流する道に阻まれ、信号が多く点在し、その都度、歩を止められるが、海側は西湘バイパスの出入り口以外は主だった交差点はなかったりする。国道を歩くなら、海側の歩道がお勧めで、箱根駅伝出場に向けて練習する大学生に教えてあげたようかな、である。

 また東海道線の各駅は、電車でなら5分間隔で止まるが、歩く距離だと1時間ごとというのも判明した。つまり電車は歩きの12倍のスピードで走るということだろう。早いような、遅いような、まあいいか、ではあるが・・・。

 そしてひたすら歩き続ける者にとってコンビニエンスストアでのトイレ休憩に期待を寄せたりするが、意外なことに、コンビニの数は相当少ないと実感し、結局この歩き旅では一度も立ち寄らず、結果ノンストップで歩き続けることになってしまった。特に西湘バイパスの国府津インターから小田原中心街まで、一軒のコンビニもなく、ほとほと困ったりした。そういえはこのあたりにも昔は2軒のコンビにはあったはずで、潰れてしまったのだろうか。是非この地区のコンビニの充実をお願いしたい。一年に一度ぐらい歩いてもいいかな、と思う者にとって心のオアシスになってくれるはずだから・・・。

 代わりといっては何だが、昔ながらの酒屋さんは多く目にした。ここが天下の東海道の道のりだと思いつつ、コンビニでトイレは借りれても、酒屋さんではちょっと借りにくい状況に、ちょっと戸惑ったりもする。また自動販売機はいたるところにあり、たやすく水分補給ははかられるが、後に飲むことになるビールの喉越しに影響が出かねないので、ここはじっと我慢の旅が続くのであった。

 また余談ながら道中(おお。まさにこの言葉がぴったりだ)、救急車に二度追い抜かれた。四時間弱の間に二回の出動。ゴールデンウィークのさなか、多いのか少ないのかは分からないが、隊員さんたちに改めてご苦労様、なのである。

 ところで国道一号線は海沿いに接しているので、ところどころで相模湾の大海原を左手に見ながら歩くことが出来る。道をそれれば、たやすく海岸に出られるが、砂地を歩くことはすなわち、体力の消耗に拍車をかけることになるので、気持ちは波打ち際を、実際は国道のアスファルトを、ということで歩き続けたりした。

 そして、自宅から3時間40分で小田原駅到着。

 見事完走、というか完歩である。意外に簡単だなあと、やせ我慢をしつつ、足腰は結構素直に反応したりして、心地よい疲労感を通り過ぎた疲れ具合も、たまには良いもんだと思ったりする。そしてこの距離は、ブルゴーニュのコート・ドール ニュイ・サン・ジョルジュ村からボーヌの市街地までとほぼ同じ距離かと推測され、思いはかの地に・・・かも。

 そして急に肌寒くなった気候のためか、小田急線足柄駅にある某店のカニコロッケを食べつつ飲んだビールにいまいち爽快感がなかったのは、少しばかり残念だったが、豚肉ステーキのおいしさに、ここまで歩いてきてよかったと、思ったりする今年のゴールデンウィークなのであった。

 たまには歩くのも、いいもんだなあ。(この疲れからして1週間は歩くの嫌だけれど・・・)


おしまい


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