お江戸・日本橋 (2004/05/19)

 
 某日、最近話題のスポットとして注目を集める日本橋の某所に行ってみた。大手百貨店跡地に立てられたそこは、最先端の建築らしく、長いエスカレーターと高い吹き抜けが印象的なお洒落なスポットだった。平日の夕方にもかかわらず、人出は、まずまずのようで店内のお洒落なカフェも満卓とまではいかないものの、かなりの賑わい。お洒落にカフェする東京マダムたちの横をすり抜けつつ、ここが最先端の東京なのかなあと思う。

 「しかし、ここでは何も買う物がないなあ」

 せせこましさとは無縁の余裕のある空間に、とてもかわいらしい小物が並ぶ店内をあらかた歩き終わり、飲食街も覗きつつ、結局は何も買うあてもなく、下りのエスカレーターを降りて、振り返ると、なんだかここは、最先端の空間というより、まるで近未来的な環境が配置されいるかのような気分になった。言葉を変えれば私の死んだあとに展開される都市空間のような、ちょっと縁遠いような違和感を覚えたりした。しかし、この洗練されたスマートさや空間作りの斬新さには、このビルがきっと未来の街づくりの模範となるのだろうと思わせる何かがある。根拠はないが、そんな予感がするのだ。

 どうやら田舎育ちの私には、最先端の空間は落ち着かず、足早に東京駅に向かいたくなるから不思議だ。東京という不思議な街の魅力と、そこに集まる人たちの人間模様も楽しそうだが、どうやらここに私の居場所はないみたい。とりあえずは天井の低い(というか普通の)我が家に戻り、芋焼酎をロックでやりたい、そんな等身大の生活が恋しくなる、ある日の東京の雨上がりの午後だった。

 ちなみにこのビルの近所にリニュアルオープンした老舗百貨店があるが、ここの二階にあるワインショップは世界最高のワインばかりを集めた感があり、値段はともかく、一見の価値はあるかもしれない。(女性店員さんもかわいらしいし・・・)


おしまい


目次へ    HOME

Copyright (C) 2004 Yuji Nishikata All Rights Reserved.