レストランの予約 その1 (2004/06/08)

 
 某日。ある大切な人を食事に招待することになって、ある有名レストランに予約の電話を入れると、残念ながら満席で、キャンセル待ちなら受けられるとのことだった。ありゃりゃ。二週間以上も前なのに、なんてこったと思いつつ、その人には、是が非でもそのレストランを紹介したく、また多忙な人なので、この季節の間ではどうしてもその日しかセッティングできない状況だったので、とりあえずキャンセル待ちをお願いして電話を切った。

 一週間経過し、その日まであと一週間となった某日。キャンセル待ちの状況を確認すると、どうやらキャンセル待ち第一位にあるとのこと。何とかなるかと思いつつ、裏情報に寄れば、超人気店につきキャンセルがでない日もあり、当日になってみないと分からない日も多いという。どうしようか思案の日々が迫りつつ・・・。

 ここは保険をかけるというか、万が一キャンセルが出なかったことを考え、別のレストランの予約もしなければならないかと思ったりする。相手はとても大切な人なので、粗相があってはならず、遠方よりこられるので、満席のため入店できなかったから、ファミリーレストランでごめんね、というのも出来ない。それ相応のレストランを確保しなければならないと思いつつも、もしキャンセルがでて入店可能となった場合、二股かけておいた店をキャンセルしなければならなくなるのも生き方に反するのだった。

 予約の二股はかけられない・・・。一週間前という直前といえば直前と言えなくもない日に、予約して、他の店の予約が取れたからといって、さらに直前に迫りつつ、キャンセルするなんてことは、私のレストラン道にはありえないことだった。仕込みの問題もあり、私の予約のために断ったお客もあるかも知れず、また数回通った店ならば、私の予約を知って料理のプランを立ててくれることもあるだろうから、そんな無礼は決して出来るものではなく、お客としての最低限のマナーは死守しなければならないと思うのだった。

 為すすべもなく、しかたがないので、じっとキャンセル待ちの列に並び続けることにした。

 当日まで待って駄目だった場合、どうすべきか。あらかじめ保険として予約していた店に行くなんて事は選択肢にないので、待ち合わせ時間までに必死で当日入店可能なお店を探すことになるだろう。そのためのリストを作成し、それでもお店のレベルは落とせず、かといって同じレベルのお店はそう多くはなく、難しい選択を迫られそうな気配だった。築地の鮨なら予約は要らないが、その時間は営業していない。切り札の築地カードは使えないのか・・・どうしよう。

 そう思っていると、携帯電話が鳴った。

 レストランからだった。キャンセルが出て、予約が取れたとのこと。

 ふう。危ない橋を渡りつつも、なんとかセーフだ。キャンセルがでることを信じ、待った甲斐があった。そしてどこのレストランにも無礼をしないで済み、私のレストラン道に汚点を残さずに済んだことに喜びつつ、当日は何を食べようかな、なのである。

 人気店の予約とキャンセル待ちにおいて、安易な予約は、その店と他の店を巻き込んだ人間模様が展開されているのだろうと思いつつ、迷惑をかけないことに力点を起きたいこの頃だったりする。こうならないためにも、もっと早くに予約しないといけないのだろう。大切な人とはキャンセル待ちではなく、ゆとりをもって食空間を楽しみたいと思いつつ、まずは結果オーライなのである。


つづく (次回は自分がキャンセルする側になってしまった時について(予定))


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