ひょんなところで (2004/07/13)

 
 ひょんなところで、というか思わぬところで、ばったりと知り合いに会うとビックリしたりするが、今回の場所も、およそそこで出会うことは想定していないような、凄いところであった。

 そこは、どこかというと・・・。成田空港の出国手続きの順番待ちの列が数本あるうちの、まさに自分が進んだその列の最後尾で、フランス語のクリスメートだった某女史としばらくぶりに出会ってしまったのだ。

 「え。何でこんなところにいるの」

 それは私のセリフだ。お互いが奇妙な再会を確かめ合いつつ、どうしてこんなところで会ったりするのか、不思議な旅の予感も走る。成田空港内で出会う、ということも珍しい部類に入ると思うが、そこは担当官のハンコをもらえば、免税品が買える、まさにその直前だったから、ちょっとびっくりだ。

 なんでも彼女は週末を利用してカナダに行くという。そして彼女によれば、空港で知り合いに出会ったのは二度目だという。そのときは飛行機も一緒で、そしてもっと驚くことは帰りの飛行機も一緒だったという。いやいや凄いね、と意味不明のリアクションをしつつ、担当官に出国のハンコを順番にもらってしばらく一緒に歩き、まもなくすると搭乗ゲートは分かれ、つかの間の再会は程なく終わってしまったのだった・・・。

 しかし、人はひろんなところで、再会するもんだなあと思いつつ、帰りの入国手続きの列に彼女を探してみたが、当然彼女はいないのだった・・・。少し寂しいような、当たり前のような、不思議な思いとともに担当官に帰国のハンコをもらったのだった。


おしまい


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