ABCといえば、ワイン通には「Anything but Chardonnay (シャルドネ以外ならなんでも)」または「Anything but Cabernet Sauvignon (カベルネ・ソービニョン以外なら何でも)の略語を意味しているらしく(注)、この二大ワイン用葡萄にヘキヘキしている様が共感を呼んだりしているが、いつものコラム的にはABCとはいつも「青山ブックセンター」のことだった。

　東京の象徴的存在だった「青山ブックセンター」は芸術関係のハードカバーも多く、お洒落な街にお洒落な店内がマッチし、田舎者の私には、東京のイメージに重なり、かなりお気に入りの本屋であった。他の本屋にはない特長ある店舗は、待ち合わせ場所としても最適で、約束の時間の相当前からここに待機した日々もあったりした。

　今朝の新聞によると、その青山ブックセンターが破算の申し立てをして昨日中に全店すべてを閉鎖したという。

　むむむ。

　私の「東京」がひとつ消えてしまった。そういえば、ABCでは立ち読みばかりで、実際に本を購入したことは少なかったかもと思う。芸術系の本は重く、かさ張り、また怪しい系の本は家の本棚には、どことなく落ち着く場所もなかったりしたからだ。その昔、「芸術作品=Hな写真」と勘違いしていたころ、偽の作家志望の若造を装って、堂々とそういった写真を立ち読みできたことを懐かしみつつ、突然の閉店という事態に、これも時代のターニングポイントなのだろうかと感傷的になったりした。

　次からはどこで人を待てばいいのだろう。　(←本屋さんは本を買うところです)

　↑　時間通りに来る人と待ち合わせれば本屋でなくてもいいという説もある。

　(注)　オーボンクリマという説もあるらしい・・・(メール感謝です)

おしまい


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