「スチームボーイ」 (2004/07/21)

 
 昨夜、近所の映画館のレイトショーで大友克洋監督作品「スチームボーイ」を鑑賞した。

 一言でこの映画の感想を述べるとすれば、「圧倒的」ということになるだろう。いやいや実にすばらしい。人間てのは、時に途方もない作品を作り上げてしまうのだと、痛感し、その圧倒的さ加減に言葉を失ってしまったりする。

 「圧倒的であれ」

 座右の銘としてこの言葉も久しいが、宮崎アニメがどことなくメルヘンチックな面影を残しているのに対し、大友ワールドは産業革命で時代が大きく変わろうとしているロンドンを舞台に、科学の発展と天才科学者親子三代にわたる思想哲学の違いという壮大なテーマのもと、大スペクタクルが展開されているから、まさに圧倒的なのである。

 およそリアルすぎる描写や大胆なタッチを食い入るように見つめ、シリーズ化されていない全く新しいストーリーにもかかわらず、するりと感情移入され、手に汗握りつつ、あっというまの2時間あまりが過ぎていくのであった。この映画、久しぶりに何度か、または何十回か繰り返し見たくなる症候群にかられつつ、代表作AKIRAも読み返してみようかと思ったりする。この夏、是非お勧めの一本である。

 ただ欲を言えば、主人公たちの台詞回しというか、台詞のタイミングが、0.05秒ぐらい遅く発せられるような気がして、微妙な違和感を覚えたのは、家の近所の映画館の事情なのだろうか。よく分からないが、その僅かなタイミングのずれが、感情移入に少しだけ間を指すのが残念だったりした。

 いずれにしても、某館のメンバーズカードを入手して、会員特典の300円の割引料金と21h00からのレイトショー割引を併用し、この夏、涼みがてら幾度か映画館に足を運ぶことになりそうな予感である。

 個人的には、ラストに出てくるおじいさんの場違いな夢の舞台が、かなり好きかも・・・。


おしまい

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