フェラーリ(号)に危機迫る (2004/08/17)

 
 愛車フェラーリ(号)に災難が降りかかってきた。

 それは、お盆休みの影響からか渋滞していた国道1号線某所にて。その日は、某自転車を一日中乗り回していたので、筋肉痛を回避するために、プールでも行って体をほぐそうと思いつつ、車で近所のプールに出かけたまではよかったが、(なぜ自転車で向かわなかったかは後日)、渋滞につかまり、しばらくののろのろ運転に集中力も欠いていた。

 ある交差点近くで後ろの車にクラクションを鳴らされ、バックミラーを見ると、どうやら助手席のオヤジが怒鳴っているようだった。なんだかめんどくさいなあと思っていたが、オヤジが怒鳴りながら車を降りて、我がフェラーリ(号)に近寄ってくるではないか。なんだなんだ、と思いつつ、とりあえずは、おっかなそうなので、ドアをロックしてオヤジが通り過ぎるのを待ってみた。しかし、オヤジは通り過ぎず、我がフェラーリ(号)の窓ガラスをたたいて、大声で怒鳴ってきた。

 「チンタラ走るんじゃねえ。ちょっと出てこい」

 凄い喧騒で怒鳴られ、オヤジの目を見ると、どうも尋常さを欠いているようで、硬直した真っ赤な顔からは明らかに何かしらの犯罪者めいた雰囲気が漂っていた。ちょっと異様な顔面だ。飲んでいるかもしれないし、危ない薬を愛用しているかもしれないぞ。

 「なんだよ。人のフェラーリ(号)を汚い手でたたきやがって。腹立つなあ」

 確かにのろのろ走ってはいたが、前が渋滞しているのに、チンタラも何もない。何でこのオヤジは怒っているのかわからず、かなり憤慨した。そういえば、最近のニュースで車の割り込み運転をめぐって、逃走した車に女性がしがみつき、道路を数十メートル走行して振り切られ、後日運転手が出頭して殺人未遂で逮捕された事件もあったなあ。昨夜は深夜の国道134号線で500M間隔で三箇所も衝突事故があったばかりで、なんかそういうトラブルにも巻き込まれたくないなあ。などと思いながら、オヤジの罵声に聞こえないふりをしていると、オヤジは後部座席の窓ガラスをボカンとたたいて、車に戻っていった・・・。

 窓ガラスをたたかれて、ちょいとここで何もせずに引き下がるのは、よろしくないぞと思いつつも、とりあえずは車のナンバーを控えて、次に何かされたら、ここは格闘も辞さないぞと思いながら、デジカメで車の証拠写真を撮って(←便利だなあ)、運転を不本意ながら再開した。ちょうど次の信号あたり渋滞も解消気味で、こんな時に赤信号で止まるのもめんどくさいなあと思いつつ、しかしオヤジの怒りは収まらないようで、信号で止まる度に再び出てきそうな態度をとっていた。しばらくは硬直した関係が続く。運転しているのは小太りの女で、こちらも頭が悪そうな気配。彼らの意味不明な態度をみていると、ちょっと危ない人たちにも見え、ここは怒りをじっと堪えて、災難が通り過ぎるのを待ったほうが懸命だろう。どうやらドアを叩かれただけでは刑事告発も難しそうで、全くの不本意ながら、意に介せずの態度をとっていた。お金はないけど、「金持ちけんかせずの心境」だった。

 彼らとはどこかの交差点で別れ、別れしなに思いっきり変な顔をしてあっち行けと吐き捨ててやったが、なんともおさまりの悪い心境に、ジャグジープールにつかってもなお、怒りも込み上げてくるのだった。やっぱりぶっ飛ばしてやるべきだったかなあ・・・。それにしてもフェラーリ(号)には傷がつけられず、まずは勘弁してやろう、て感じである。思い出しても腹が立つ。そういえば最近は「危ない」人も多いので、怒りに任せて相手のペースに引き込まれても、ろくな事もなさそうなので、じっと我慢の心もちである。

 ちくしょう。このコラムも怒りに任せて筆を進めるも、オチもなければ、面白くもないなあ。まあ、行き場のない怒りの捌け口ということで今回は勘弁してもらおうっと(笑)


おしまい

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