葉ちゃん (2004/08/26)

 
 神奈川県小田原某所の「香港風味 葉(よう)ちゃんの店」が、とてもおいしくて幸せだ。

 ここは、いわゆる普通の中華料理屋さんで、どこにでもありそうな、そんなお店。ラーメンやチャーハン、餃子など、とくに珍しい料理が並んでいるわけでもなく、ごくごく普通に中華が食べたくなったらやってくるようなお店なのだが、この定番メニューがとても美味しいから、うれしくなる。

 味わい的には、薄味のうまくち系で、スパイシーさが余韻と共に後からやってくるタイプ。これは、まさに私の好みの味わい。ワインでいうならば、自然派ワインのうまみに通じる味わいで、派手な演出こそないものの、確実に素材のうまみを引き出してくれている。強いて言えば癒し系ともいえなくもないが、スパイシーさもきちんと現われるので、積極的な癒し系とも表現したくなる味わいで、ほのぼのしつつ、とてもうまいからありがたい。

 一皿600円前後という、その価格帯からしてコストパフォーマンスは最高で、店構え自体にはお金がかかっておらず、出迎えの黒服のお兄ちゃんや豪華なシャンデリアに螺旋階段などはなく、カウンター席だけの小さなお店だが、中国出身のご夫婦が、気持ちおぼつかない日本語ながら、とてもハッピーに美味しい食事を提供してくれるから嬉しくなる。コミカルに話すチャーミングな奥さんの日本語も楽しく、ご夫婦間のやり取りは中国語なのでチンプンカンプンだが、今何言ったのと質問すれば丁寧に訳してくれるから、微妙な時間差はあるものの、そんなやり取りも食事を美味しくしてくれたりする。

 料理名は普通のラーメン屋さんのように、壁に貼られていて、近い将来に全ての料理を平らげそうで、完全制覇の夜も夢ではないが、どうやら同じ食材を使っていても、調理方法などを少しずつ変えてくれるので、違う味も楽しめるようだ。いやいや、小田原に美味しい中華発見だ。隠れメニュというか、なんというかだが、生ビールも大変美味しいので、ちょっとビールを頼みつつ、オープンキッチンなお店でシェフの後姿を横目で見つつ、美味しい食事を楽しみたかったりする。

 場所は、西湘バイパスを小田原インターでおりて、左折。国道一号線を西に走り、新宿の交差点を右折してすぐのところにある。どうやらちょくちょく通いそうなので、テレビの真下のカウンター席で、うまそうにビールを飲んでいたら、それは案外、私かもしれない・・・。


おしまい

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