あるラーメン屋さんにて (2005/04/13)

 
 先日、日頃大変お世話になっている和食職人さんと、ラーメンを食べに行った。なぜラーメンかと問われれば、某氏大絶賛の近くのうどんやさんが不覚にも定休日だったためで、まあここも悪くないみたいだからと入店したのだった。ラーメンの味自体は、とくにむにゃむにゃむにゃなので(最近この手の御飯に多数遭遇するなあ・・・)、どうでもいいのだが、ふと気になったのは従業員の挨拶だった。

 カウンター席とテーブル席があり、席数は巷のチェーン店系ほどはあり、従業員も数人働いていた。彼らはお客さんが入ってくると独特の口調をそろえ「いらっ。しぇいませぇ」と言い、お客さんが帰ろうとすると「ありがとう。ございましたぁ」と全従業員がいっせいに挨拶をしてくる。その独特の言い回しは、結構嫌いなほうで(←駄目ジャン)、なんとも嫌味を感じるが、問題の本質は彼らの挨拶の対象にあった。彼らはあきらかに、自動ドアの反応と同時に挨拶をしていた。作業をしながら、ドアが反応すると同時に誰かが言葉を発し、歩調をあわせやすいゆっくりめの言葉に、全従業員が挨拶を重ねてくるのだ。彼らの挨拶は、お客さんに対してではなく、どうしても自動ドアが開閉に対して挨拶をしているような気がしてならない。これぞマニュアル系挨拶の典型・・・。

 こんなのちっとも挨拶じゃないよと思いつつ、目を合わせようとしなかった彼らに、不味かったラーメン以上の悲しみを覚えてしまうのは、どうやら私だけではないようで、某和食職人さんの普段は温厚な目じりも、急速に上がっていくのだった・・・。挨拶って難しいなあ。たぶん一生あのラーメン屋さんには行かないので、彼らと挨拶することは一生ないのだが、どうもマニュアルチックな挨拶に違和感を覚えつつ、ラーメンのケミカリーな残存感を抱えたまま、フェラーリ(号)は北に進路をとるのだった・・・。


おしまい


目次へ    HOME

Copyright (C) 2005 Yuji Nishikata All Rights Reserved.