カレー好きのカレー風味嫌い (2005/06/12) |
先日開催したあるワインセミナーでは、食事のバリエーションが多かったために、ある程度統一させようと思い、事前に参加予定者に苦手なものを尋ねていた。(他のセミナーでも苦手な食材には配慮させていただいています)
返信されたメールの中にこんな回答があった。 「一緒に参加する女性は、カレー風味が苦手なよう、でもカレーは好きらしい(意味不明・・・)。今回のメニュには、それがないから多分何でも大丈夫でしょう。(要旨)」 カレーは好きだけど、カレー風味は嫌い。 その一見矛盾する食べ物の好みは、私には、意味不明どころか、とても理解できるのだった。というよりも、共感して大拍手かもしれない事態だったりもする。そうなのだ。カレーとカレー風味は、似て非なるものなのだ。もちろんフレンチレストランの定番メニュにカレー風味の料理があげられると思うが、個人的にカレー風味は、そのカレーのスパイスの個性が強すぎるために、そのお皿はもちろんのこと、以降に食べる料理もカレー風味になってしまうことも多く、口の中での残存感も長くなりがちで敬遠したい料理の筆頭格なのである。カレーはカレーとして食べたいのである。もちろんおいしいカレー風味の料理はたくさんある(と思う)が、食材のいまいちさをカレーでごまかしている手合いも多く、そしてカレー風味はブルゴーニュワインとの相性もことのほか悪く、せっかくのピノ・ノワールの繊細で薄いお味が、カレーに染まってしまったりするのが嫌なのだ。(カレーは、エルミタージュ・ブランと合いそうだが・・・) フレンチレストランで食べるカレー風味の料理は、うっすらと隠し味程度にカレー風味が添えられている場合を除いて、食材をごまかしているように思えてならない。新鮮な、または正統的に熟成を終えた食材は、そのままの味が最もおいしいと信じているからだ。余計な細工は、食材の味わいを歪曲し、食材のマイナス要素を隠しているように思えてならないのだ。もちろんそのお皿が500円くらいの単価なら、食材を無駄にしないための創作料理として食べる価値が創設されていると思うが、数千円単位になりやすいフレンチの料理として出されると、かなり微妙だったりもする。カレーは日本人に最も親しみやすい味わいにして、それが加えられても嫌な感じは持ちにくいが、最近素材のおいしさにこだわった料理に、とても魅力を感じるものにとって、個性の強すぎるカレーというスパイスは、カレーとして食べる以外は、かなり敬遠したい症候群なのである。 カレーは好きだけど、(もちろんフォークで・・・ね) カレー風味は嫌い。至極同感なのである。 おしまい Copyright (C) 2005 Yuji Nishikata All Rights Reserved.
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