ある日、夕飯の準備をしていて、ふと思った。

　お箸を人数分、食卓に並べることって、何気ないが、とても幸せなことなんだと。

　三人家族なら三膳分、四人家族なら四膳分、二人家族なら二人分のお箸を用意することって、とても幸せなことなんだろう。増える分にはかまわないのだろうけど、その数が減ってしまって、それが二度と増えることがなくなる可能性を秘めつつ、その夜の御飯を一緒に食べる。

　一緒に御飯を食べること。

　日常生活の根本にして、普段忘れがちなこの事実は、それが失われようとすると、しがみつきたくなるほどに・・・。

　今宵もちゃんとお膳の準備ができることに、幸せを感じたりする。


おしまい


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