ある編集長の最後の編集後記 (2005/10/26)

 
 今発売中の「料理王国」の編集後記には、今号で編集部を去る編集長のコメントが掲載されている。

 その中で最も印象的なことは、レストランを紹介するに当たって、点数によるレストランの評価をしなかったことに対する理由だった。詳しくは記事に譲りつつ、私も痛く同感なのである。レストランやワインの点数評価は、ある意味において、読者に最もわかりやすい形でその意思を伝えることが出来るという側面をもってはいるが、人が育てた食材を、人が調理し、人がサービスして、人が食べるという食文化に照らすと、物事はそんなに単純ではなく、私は、点数によるわかりやすさよりも、点数による弊害を懸念したかったりする。

 料理やワインの楽しみの一つに、食べて側の想像力や空想力が加味されるなら、誰かの点数評価はあまり必要のない情報であるが、コスト・パフォーマンスを追及し、最短時間と最少経費でおいしいものにたどり着こうとする人たちにとっては、点数こそが最大にして最高の評価の材料になるのだろう。

 点数評価については、議論が尽くされ、そして未だに結論は出ていないが、点数をつけないことを信条としてきた編集長が、その雑誌を退いたという事実が、今後の料理関係の雑誌にどう影響があるのか、本屋さんで立ち読みしつつ、注目して行きたいと思ったりする秋の夜長なのであった・・・。


 おしまい


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