「四国はどこまで入れ換え可能か」 (2005/11/02)

 
 「四国はどこまで入れ換え可能か」 佐藤雅彦著 新潮文庫刊

 いやあ。久しぶりに本屋で立ち読みしていて、ゲラゲラ大笑いしてしまいました。だんご3兄弟でおなじみの佐藤氏のこの本は、「ねっとのおやつ」というタイトルを改題して、新刊としてリリースされたようですが、そんなことより、知的で、ユーモアで、時にシュールな名作として、是非ともお薦めしたい本だとおもいます。

 この本は、基本的にはマンガであり、愉快なショート・コミック集。いくつかのマンガが、時に4コマだったり、9コマだったり、5コマだったりで展開されますが、まずは、表題の「四国はどこまで入れ換え可能か」を81ページに探して、おもむろに読んでみました。3ページからなるこの章は、最初の1ページで早くも結論が出て、次の見開きの2頁を使って具体的に示されています。この章を本屋で読むや、笑いが込み上げ、このページだけでも何度も読み返し、それはそれは幸せな気持ちになりました。気持ちの変遷を辿ってみますと・・・。

 1回目 本屋で人目も憚らず、大笑い。
 2回目 本屋で、なるほど、うまいこと書くなあ、と喜ぶ。そして買う。
 3回目 飽きる。
 (中略)
 10回目 しみじみ笑う。
 11回目 知的なセンスに、一票を投じる。
 12回目 飽きる。
 13回目 やっぱり笑う。
 (中略)
 22回目 小学生の頃の社会科の授業を思い出す。
 23回目 そしてしみじみと郷愁に浸る。
 24回目 なんだか涙が出てくる。(過ぎ去った日々に・・・)
 25回目 飽きる。
 26回目 それでも気になる。
 (中略)
 36回目 四国に行きたくなる。
 37回目 某所にも行きたくなる。
 38回目 北海道は無理かと思う。
 39回目 九州には行ってみたいと思う。
 40回目 やっぱり笑う。
 41回目 某料理屋さんでご主人に本を渡し、そのページを差し出す。先に私が笑う。
 42回目 隣のお客さんにも見てもらい、一緒に笑う。
 (中略)
 46回目 寝る前にもう一度、ほくそえむ。
 47回目 目が覚めて、さいしょに81ページ目を探し、笑う。
 (後略)
 
 と、こんな感じです。

 四国を入れ換えるとは、どういうことか。なぜ筆者は、「あとがき」で四国の人に謝ったのか。その答えは、本書の81ページから83ページまでに書かれています。この本は、間違いなく、今年読んだ本の中で、最も笑った本として記憶のど真ん中に留まり続ける事でしょう。でもこんなコラムを書きつつ、実はそのページを見開いていたりします。

 完全に壺に嵌りました。あはは。


 おしまい


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