マティスの金魚 (2005/12/16)

 
 先日、上野の東京都美術館で開催中のプーシキン美術館展に足を延ばしてみました。

 お目当ては、チケットの表紙にもなっているアンリ・マティスの金魚(油絵・カンヴァス/140.0cm x 98.0cm 1912年製作)だ。うーん。すばらしいですね。久しぶりの絵画鑑賞でしたが、マティスの絶妙な色使いと、何気に食卓の壁に掛けたくなるような、ハッピーさが抜群でした。絵的にはテーブルの上に置かれた金魚鉢に4匹の金魚が泳いでいるだけの、何てことない絵ですが、そこにその絵があるだけで、とても幸せになるから不思議です。

 いい絵を見ると、いつもそこに立ち止まってしまいます。

 今回は平日だというのにかなりの人出で、人影を避けるように見つつも、今回の展覧会のメインの絵だけあって凄い人だかり・・・。本当は腰をすえて、じっくりと見たいところで、欲を言えばこの絵を見ながら団欒のひとつもしたいところでしたが、それは、心の中で再現することにして、とりあえずはポストカードか、そう高くなければレプリカの一つでも買おうかとお土産売り場を覗いてみると・・・。

 あ。

 全然駄目ですね。金魚の「赤」が、まったくもって再現されておらず、その赤が違うために全く違う絵に思えてならなくなってしまったのです。最新の技術をもってすれば、リアルな色使いも再現できそうですが、偽造防止の観点からか、何か意図的に違う色を配されているようで、一気に興が冷めてしまったりしました。

 本物が欲しい。本物を食卓に・・・。

 しかし、一枚63億2700万円くらいしそうなので、(自分調べ)、どうしたもんでしょう・・・。

 本物だけが発するメッセージ。そんなメッセージを美術館で受け取るのも、なんだか心が洗われるようで、いい感じです。また、個人的には、ゴッホの「刑務所の中庭」の重たい空気と、ルノワールの「黒い服の娘たち」(の左側の女性)に、なにか惹かれるものがあり、そういえば明後日(2005/12/18)まで開催されているので、今一度足を運んで見たいと思ったりしています。


 おしまい


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