低い限界 (2006/03/24)

 
 ここのところ、常に考えている言葉に、「低い限界」というのがあります。

 この言葉は、NHK教育テレビの傑作語学番組「ハートで感じる英文法」の前のシリーズの何回目かの放送で、講師の大西先生が冒頭の挨拶で発した「英語を学ぶ時、通り一遍等の英会話をいくら丸暗記しても、そこには低い限界があります。英文法をきっちり学びましょう。(要旨)」に由来しています。

 「低い限界」で勝負したくない。そう思います。

 ワインをただ楽しむだけでなく、ましてや、ただ酔うだけでなく、ワンランクもツーランクも上のレベルで、そして常に気持ちは、世界最高を意識して、おいしいワインを紹介していきたい、と思っているところに、「低い限界があります」と発せられれば、それはもうすっかり大西ワールドの虜なのかもしれません。

 ワインを楽しむ時、ワインだけの知識では、そこには低い限界がある。

 「低い限界」を意識するうちに、自ずとお料理、特に伝統料理に対する知識欲が沸き起こり、道具は貧乏のくせしてロブマイヤー・バレリーナ・シリーズをたくさん買い揃えてしまい、本物にこだわる料理人の心意気や匠を最大限に尊重したくなり、レストラン側の配慮や準備を意識するようになり、さらには、ただ酔うだけのワインにしたくないために、ついつい要らぬ言葉を発してしまったり(笑)、芸能人の箸の持ち方に苛立ちを覚えたりと、そりゃもう大変な騒ぎ(自分調べ)になってしまっています。(時には酔いにかまけて、すし職人に嫌われて、わさびをテンコ盛りされたりしつつ・・・すみません)

 「限界を超えて、ららら・・・」

 その昔、大学生だった頃、鉄腕アトムのテーマソングにあわせて、そんな替え歌で囃し立てられながら、渋谷や横浜の居酒屋でビールや青リンゴサワーを一気飲みさせられた(させた?)ときの思い出が蘇りつつ、「低い限界」に甘んじないよう肝に銘じたりしています。己の限界は、油断するとすぐ低くなっちゃいますから・・・。


 おしまい


目次へ    HOME

Copyright (C) 2006 Yuji Nishikata All Rights Reserved.