オヤジのマナー論 (2006/06/18)

 
 先日、といってもずいぶん前、北の大地に住む、ちょい悪オヤジ(正確に言うと、ちょいではなくて相当悪そう・・・)な男性(以下オヤジ)と会食する機会に恵まれた。このオヤジさんは、超ウルトラプラス君というか、ハイパーアクティブ君というか、ウルトラ遊び人というか、その生き様にはオーラが出ていて、強烈に面白い人だった。で、その時の話題で印象的なものを・・・。

 それはレストランでのマナーについての見解だった。

 オヤジいわく、「レストランのマナーなんてのは、そんな仰々しいもんではないんだよ。要は、食事をおいしく食べるってこと。楽しく食べて、相手に恥をかかせず、他のテーブルに迷惑をかけない。それに尽きると思うが、どう思う。それから食事中にタバコをふかすやつを見ていると、シェフの顔におならをかましているように見える。そんなやつは許さんのや。その煙はこっちにも来るからすごい迷惑。マナーなんていうのも、どうかと思う。そもそもフォークの使い方やワイングラスの持ち方なんてのは、どうでもいいことなんだよ。一緒に食事をしている女性が不慣れで、フォークの使い方が微妙だったら、それと同じ持ち方をすればいい。天皇陛下がワイングラスを持つときは、脚ではなく、ボールの部分を持っているじゃないか。そして、フィンガーボールの水を飲んでしまったら、そのテーブル全員でフィンガーボールの水を飲み干さないといかんのだよ。それが相手に恥を欠かせないことだろ。それから料理が出てきても、いつまでも食っちゃベッテルやつらもイカン。熱い料理は熱いうちに食え。それがその料理を作った人への最大限のマナーだ。・・・(後略)。」

 最近発売された雑誌では、ソワニエ(上客)についての記事が載っていて、とてもためになるが、実は、ソワニエなどというお洒落な言葉と同様に、ワインをガンガン飲んでは、唾をハキハキさせながら、強烈に喋り捲る北の大地の男の話もまた、断然面白かったりするから、世の中不思議である。

 お洒落でなくとも、礼儀は伝えられる。

 しかし、自説を力説するオヤジもまた、とてもお洒落に見えてくる不思議な夜だった。

おしまい
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