電車が3時間40分遅れる時
 (2006/10/27)

 
 昨日、久しぶりに電車で上京した。夕方には用事も終わったので、日ごろお世話になっている各店をパトロールしようかと思いつつ、渋谷駅で湘南新宿ライナーの時刻表を眺めると、今なら、ちょうどいいタイミングで帰れることが分かり、パトロールは次のお楽しみにして、そそくさと電車に乗り込んでみた。横浜までは快調で、湘南新宿ライナーは便利だなあと思いつつ、次の戸塚でなにやら止ってしまった。

 車内放送によれば、茅ヶ崎-辻堂間の踏み切りで、トラックに積まれていたショベルカーが落っこちて線路をふさいでしまったという。復旧の見通しは立っておらず、この電車も次の大船駅で運転を見合わせるという。うーん。なにから大変な騒ぎになってきた。遅れてやってきた次の電車は、熱海まで行くというので、とりあえずその電車に乗り換えて、電車の復旧を待ってみたのだが、これがまた、まったく復旧する気配もなく、電車は後ろの電車に押されるようにひとつ先の駅まで進みつつ、大船駅で完璧に停車してしまったのだった。

 動かないものは、しかたがない。ここは読書と決め込んで、ボージョレの本をつぶさに読みつつ( = ボージョレの真実 ミシェル・ドゥプロスト著 河出書房新社 = ワイン関連本の中で久しぶりに面白いと思った本かも)、時折流れる車内放送に、心乱れたり、心和んだりした。車内放送からは定期的に事故の状況と復旧の見通しが立たないことを告げているのだが、この車掌さんがどうにも活舌が悪く、いつも同じところで詰まってしまうのだ。ショベルカーの件が苦手のようで、いつもあいまいな語尾になりつつ、それでもあの車掌言葉というのだろうか、次はどこどこに止まりますー、のマスーの発声が退屈な車内にこだまするとき、なぜか一人笑ってしまうのだった・・・。もう百篇くらい同じ文章を読んでいるはずなのに、なんで事故の状況をすらりと説明できないんだろうという苛立ちと、遅れてやってくるあの「マスー」に、それを許したりした。

 結局、3時間40分遅れで、電車は復旧するのだが、この復旧作業に、まるまる車内で付き合ってしまった。飛行機に乗っていれば、危うく香港までいける時間ではないか・・・。最近、電車があちこちで止まったりしているが、電車通勤は、大変だなあと思いつつ、あの車掌さんの活舌の悪い車内放送に、今一度ほくそえむのだった・・・。


おしまい

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