ビールがうまい (2006/11/15)

 
 最近、缶ビールに目がなくなっている。毎晩、各社のビールを飲み比べては、おおお、とか、うーんこれは、とか、微妙・・・とか独り言を言いつつ、ごくごく楽しんでいたりする。各社のビールは、新作系ではなく、そのビール会社の顔的な定番系ビールで、何をいまさらという感も否めないが、これが器が隆太窯と聞けば、妙に納得してしまうのだ。

 唐津焼の隆太窯 中里隆さんの作を、毎晩、愛用している。

 この大き目の里芋に似た形の南蛮コップに、冷蔵庫から取り出した缶ビールを注げば、それはもう、ビールがうまくてしようがない。まず第一に、木目の細かいクリーミーな泡が、極上の風合いを醸し出し、そして器を通して感じるビールの冷たさに、心が躍るのだ。口元のやや開き目のエッジも、ロブマイヤーのそれににて好感触で、小ぶりの器は、コクッと飲むにはちょうどいい大きさで、三回くらいに分けて飲むと、器の内側にはその度ごとに、きれいなラインが刻まれて、それはそれは美しい光景なのだ。

 この器で楽しむビール。個人的な感想としては、キレを求めるビールとの相性は、今ひとつしっくりこないが、コクを求めるいわゆるプレミアムビール系との相性は抜群で、その深い味わいを器を通して、ビールのうまみをググッッと感じることができる。ただ、米の含有量が多い銘柄は、泡立ちが良すぎてしまうような気がしている。カプチーノや、某キリン○ティの生ビールのような、盛り上がりすぎる泡が、ちょっとした戸惑いを感じ、泡ばかりが口の中に入り、本体の液体にはなかなか到達できないところが、個人的には、何かの対応策を講じたくなってしまうのだ。

 いまのところ、下面発酵発酵系のいわゆるラガータイプしか試していないが、これを上面発酵系のビールで試すなら、どんな味わいになるか興味もわくところだ。ランビックなどのベルギービールは、泡立ちがないものも多く、隆太窯との相性は未知の世界。早くに試してみたいが、そうすると例の回転寿司に行かなくてはならないだろう(笑)。回転寿司にマイコップを持っていく様は、少し微妙かもしれないが・・・。

 ところで、この隆太窯に甲州ワインを入れると、思わずほくそえんでしまう。うまいのだ。販売制限のあるリリースされたばかりの某ワインをこの器に入れると、グラスのときよりも「とろみ」を感じ、遅れて柑橘のニュアンスが楽しくなり、ついついグビグビいってしまうので、早めに酔ってしまうところが、痛し痒しだったりもする・・・。でもおいしい。

 隆太窯自体は、大変高価な唐津焼で、買うには少しの勇気も要ったが、毎日こんなに使っていれば、日々原価比率も低くなり、逆に安い買い物だったと思ったりする。いい器のある日常・・・。もう戻れないことに、気づいているこのごろだ。ビールがこんなにうまいとは、ぜひに、お試しいただきたいと思う。


おしまい

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