10円玉、じゃない (2006/11/28)

 
 昨日、郵便局でお金を支払ったとき、10円玉に似て非なるものを発見し、局員さんに、「これは10円玉じゃないですね」と指摘された。で、よくよく見つめると、大正九年の1銭玉だった。

 こ、これは、大日本帝国発行の古銭ではないか。御徒町あたりのその手にお店に持ち込めば、何万円かの価値があるかもしれない。私は、急いで自宅に戻りインターネットで、この1銭玉の価格を調べつつ、あわよくば換金してしまおうと考えた。思わぬ大金が・・・、何を買おうか、だ。

 で、調べると、この古銭は、桐1銭銅貨というものらしい。同じビンテージ(大正九年)のものは発見できなかったが、この古銭の価値が、ネット上で明らかにされていた。

 100円くらい。

 なんだ。がっかりだ。気持ち的には、徳川埋蔵金のミニレベルだと信じていたのに。しかし、よくよく考えると、そもそも1銭の価値しかないものが、今日、1万倍の金額で取引されていると思えば、それはそれですごいことだと思ったりする。大正九年といえば、西暦1920年。86年も前の話ではないか。

 ふとしたことで、私の財布にまぎれた1銭玉。

 一瞬の動揺を隠せなかった不明を恥じつつ、時の流れに歴史を感じたりする。いつでも財布に忍ばせて、困ったときには、換金しようと思う。


おしまい

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