「ハゲタカ」 (2007/03/31)

 
 先週で放送が終わったNHKの土曜ドラマ「ハゲタカ」の興奮が今も冷めやらない。

 個人的には、この何年かで最高のドラマだと思うのだが、視聴率的にはパッとしなかったようで、いい番組が必ずしも高い視聴率をとるとは限らないことを、このドラマは証明しているようだ。また「ハゲタカ」で検索しては、いろいろなブログを読んでみたものの、好意的なコメントは意外に多くなく、まあそれはそれ、人はみな立場によって見方も変わるのだから、それはそれなのだろう。

 ドラマはバブル崩壊後の失われた10年の日本で起こった、外資系投資ファンドによる企業買収の話。ホリエモン事件やらなにやらが話のいたるところで連動し、時に残酷な企業買収の裏側と、それに翻弄される人間模様が強烈に描かれている。ドラマの本質は、「世の中はカネだ」という短いメッセージにすべてが表現され、「人生の悲劇は二つしかない。ひとつは金のない悲劇。そしてもうひとつはカネのある悲劇」というナレーションが繰り返されるうちに、主人公たちの過去や葛藤が、進行形のドラマに重なっては、番組を大いに盛り上げていく。そしてそれは、まったく個人的な事柄ながら、私の過去にも連動して・・・。

 投資ファンドのハゲタカから連想する冷酷なイメージと、実は人間くさい主人公たちの葛藤が、やや過剰といえなくもない演出によって展開されては、私は素直に番組を受け入れるのだった。(そんなに都合よく雨が降ったり、救急車が通り過ぎたり、しないと思うのだが・・・。また音楽の挿入の仕方が、あまりにもくさいが、しかしピントがバッチしあっているから泣けてくる・・・)

 番組の視聴率は低迷したが、番組HPへのアクセス数は、大河ドラマを上回るという。経済用語の解説や、ドラマで何気なく登場する新聞記事や重要証拠などが、丁寧に紹介されていて、この木目の細やかさがNHKということになるのだろうか。気合の入ったドラマは、その細部にまで木目の細かいフォローがされている。ここにプロの仕事を見たりする。HPによれば、どうやら6月に再放送も決定したようで、録画したにもかかわらず消し去ってしまった最初の2話を楽しみにしつつ、後半4話を繰り返し見てしまう自分に気づくとき、自分のこの10年の出来事も走馬灯のように、思い出されるのだった。

 ハゲタカの時代にも微妙に連動する、私にとっての、1997年4月25日から、もうじき丸10年。早いもんですね。(1997年4月25日、その時何が起こったのか・・・セミナーなどで・・・。また、関係各位と節目の飲み会でもしたいなあ)


おしまい

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