重い扉の向こう側 (2007/05/02)

 
 回転寿司で、サプライズ。
 
 こんな合言葉を叫び続けて、かれこれ幾年月が流れていますが、私の周りにも、いまだ回転寿司に抵抗を感じている知り合いが多数います。特に食に一見をもっている人には、こればっかりは口で何度も説明しても、その人の生い立ちや価値観に照らし合わせれば、「NO」とならざるを得ないものと諦めて、しかし、それでもその固定観念という名の重い扉をギシギシと開けてやりたくなるのは、あの回転寿司にしかない不思議なオーラのせいかもしれません。

 先日、沼津のベアード・ビールに興味を持つ某氏と、夕方軽くどこかで飲みましょうかという話になり、その第一候補にその回転寿司を挙げてみたものの、なんとなく、どことなく、やっぱりテンションは相当低めな回答で、この話はなかったことになりそうな予感が漂っていました。しかし、某氏を回転寿司にお連れできるのは今日しかない。どこからともなく天の声が聞こえてきて、ゴリ押しすべしとの啓示を受けて、目が嫌がっている某氏を半ば強引に電車で小田原へと向かったのでした。当日はゴールデンウィークの祝日ということもあって、夜8時半に到着しつつも、行列ができており、店内は大変な賑わいに・・・。タクシーで乗りつけたものとして、ここは並ばざるを得ず、10分程度待ちつつ、ようやくカウンターの端っこに男二人で腰掛けたのでした。

 まずは、いろいろと噂のあるヒューガルデンホワイトの生で乾杯しては、ハモン・イベリコ・ベジョータの5J(シンコホタス)はベジョータ村のものと、セラーノ(詳細失念)のセットを頼み、続けざまに、ホワイトアスパラ(もちろん半熟卵つき)、天麩羅いろいろ、ドイツのソーセージ盛り合わせ、豚の軟骨、フライドポテト、なめたけの味噌汁を注文して、がっつりと食べまくってしまいました。ビールは、ベルギービールのおまかせで数種類を飲み比べ、後半は、2種類のアモンティリャードをベネンシアドールでサービスを受け、その磯の風味を大いに楽しんでしまいました。

 あれほどまでに回転寿司での食事に抵抗感を持っていた某氏も、ベルギービールのおいしさや店長らの「こだわり」に翻弄?され、およそお寿司とは関係のないものばかりをガッツリと食べつつ、ご機嫌は上々でした・・・。某氏に聞けば、子供のころに何回か回転寿司に来たことはあっても、社会人になってからは、初めての回転寿司という。帽子の持っていた回転寿司のイメージが、ガラガラガラと崩れ落ちる音を聞きながら、ベルギービールを専用のグラスで楽しんでは、某氏が「落ちず」にはいられないというものです。

 最後の締めで、お寿司を二種類ほど頼んで、お会計・・・。あちゃゃ。またやってしまいました。二人で14,000円なり。ビールを少しばかりたらふく飲みすぎたのと、チーズを頼めなかった後悔と、およそ回転寿司での食事とは思えない金額に、なんだか不思議な笑みもこぼれるというものでした。帰路は歩いて、とことこと小田原駅まで・・・。夜風が涼しい、ゴールデンウィークな夜でした。

 回転寿司でサプライズ・・・。

 やはりここは、自身の体で体感しないと、そのサプライズは、共有できないものだと確信したりします。そして、ここからは宣伝ですが(笑)・・・5/26には、あこがれのブルゴーニュワインの筆頭格、ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエの1996年の特級ミュジニを、当回転寿司で、開栓します。ロブマイヤーグラスを用い、ほぼ貸切の店内で新たなるサプライズと喜びを、体感してもらえたら、回転寿司の歴史に新たなるエピソードが加わることでしょう。


おしまい

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