フェア・ドマの塩加減 (2007/08/13)

 

 昨日は、いろいろな幸運に恵まれて、いつも大変お世話になっている某氏と、某氏、そして某和食の大将と、日本橋三越そばのイタリアンの名店「フェア・ドマ」さんにて素敵なディナーでした。(男祭りでした・・・)

 お料理は、完全におまかせコースをお願いして、まずは自家製のチョリソの辛味に、舌鼓。唐辛子に加え、ハバネロも入っている辛い料理は、翌朝のトイレでの惨劇を想像すると二の足を踏みがちですが、「そこまで辛くないです」の一言に安心しつつ、豚肉の生のやわらかさと辛味のマリアージュをおっかなびっくり楽しみました。(翌朝もセーフでした(笑))

 松橋シェフの意気込みは、諸般の事情を察してからに、相当なもので、そのオーラを全身から発っせられ、それを受け止めるがごとく、強烈に素敵な夜を楽しませて頂きました。ご存知のように?、最近の私は濃い味付けが苦手です。素材のうまみを引き出すお料理にリスペクトを持ちつつ、いつのころからか、ハイ・インパクトなお料理は敬遠しがちでしたが、フェア・ドマさんのお料理は、ひさしぶりにガツンとパンチをもらいつつ、大いに感激してしまいました。

 強気の塩。

 シェフのお料理からは、そんな共通するメッセージを感じながらも、ただ塩っ辛く、濃いだけでない、美しいエレガンスを堪能いたしました。濃いのに、余韻が心地よい。それはまさに代々木に移転する前の某フレンチのシェフの絶頂期を思い起こさせます。フェア・ドマは、ガッツリうまい。特に今回は3種類のパスタが印象的。王道ジェノベーゼで心揺さぶられ、続いて贅沢のきわみとも言うべく、ウニとカラスミと海蛸のパスタは、パスタ史に残る最高の味わいでした。あのねっとりとバスタに絡む感覚は、至福とともにメタボな予感も漂います。うまいは、時に、生き急がせる何かを持っていますね。追加でオーダーしたテーマ「残暑」のパスタも、複雑な味わいにして、残暑を思い起こさせました(ほんとかな・笑)

 強気の塩加減が織り成す絶妙のハーモニーは、アルデンテという一瞬の食べ時とあいまって、強烈なうまみ成分を発し、思わず、「うまい」と唸っります。塩の強さに、男気を感じます。また、メインのアサリと豚のナポリ風は、絶妙の塩加減にして美味。海のものと山のものが一つのお皿に盛られる心地よい違和感と、優しい肉の歯ごたえがと肉汁が、私の頬を緩ませます。おいしいなあ。デザートも食後酒も強気モードを継承し、とてもいい感じ。

 塩を食う。男の料理をガッツリ食べたくなったら、日本橋へ行こう。


おしまい

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