廻る厚焼き玉子の下にて (2007/12/24)

 

 今日は、クリスマスイヴですね。

 でも、そんなの関係なく、昨夜も今年52回目(推定)の回転寿司でした。(この5日間で3回訪問・・・一度は別件でしたが・・)

 2年前から「回転寿司でサプライズ」といい続けた私の一年ももうじき終わりますが、昨夜も新たなる発見がありました。普段の私は、回転するお鮨には全く手をつけず、ひたすら生ハム(ハモン・イベリコ・ベジョータのほかに、ピレネー山脈産のノワール・ド・ビゴールも秀逸)とチーズ各種(昨日現在では25種類だそう)とトリッパのトマト煮込みをつまみつつ、ベルギービールを飲み続け、お気に入りのお味噌汁をすすっては、時々鈴木新店長(仮称)にお願いして、お勧めのお鮨を握ってもらっています。

 この日は、大学時代からの友人とともにカウンターのコーナーに陣取りつつ、初報の彼らは時折廻る回転寿司に手を伸ばしては、おいしそうに食べていました。そうか、ここは回転寿司、ごく普通に廻るお鮨に手を差し伸べてよかったんですね。で、会も後半(3時間以上経過・・・)に差し掛かり、某女史が手を伸ばした厚焼き玉子の半分を貰い、あれっと思うのでした。

 お皿がちゃんと温かい。

 熱々の厚焼き玉子も店内を何回転かしているうちに、おのずと冷めてしまうのは師走の風景として、自然の成り行きですが、この回転寿司は、厚焼き玉子を載せる210円のお皿にきちっとしたホスピタリティを発揮させ、その成り行きにあくまでも対抗し、熱々のままの厚焼き玉子を提供してくるのです。

 回転寿司でサプライズ。

 熱々の玉子焼きを熱々のままに・・・。出来そうでできないこのホスピタリティに、感動を覚えます。おそらくは、誰も気がつかないかもしれない温度管理。普通であればあるほど、それは気がつきにくいものですが、日ごろからお料理の温度に強烈なこだわりを持つものとして、回転寿司という最も日常の食卓に、三ツ星レストランと同じ配慮を感じるとき、私の心に、星はみっつも輝くのでした。

 お湯の温度は、65℃。温すぎず、けれど火傷をしないぎりぎりの温度設定を施しては、飲み放題のお茶で一休み。残念ながら、この星に無数に存在する回転寿司のうち、私が訪ねるお店は、ここ一店限りにつき、グループ店を含め、他の店がどういうホスピタリティを実現しているかは分かりませんが、ミシュランで取り上げられているレストランを訪問するときと同じ心地よさを、このお店に感じる事実は、否定のしようもなく、回転寿司でサプライズは、自分史的な定着を見せるのでした。

 食に携わる人が、この店を訪問しないことに、抵抗を感じます。

 回転寿司で・・・という上から目線が、彼らの好奇心を遮ろうとするとき、一抹の寂しさを感じるとともに、この店で感動する気持ちを共有できると、食の輪と和は、いっそう深まるものと信じます。

 回転寿司で、サプライズ。あなたはもう体感しましたか。

 (宣伝= 2008/2/2は、シャンパンの会です (笑))
 

おしまい

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