2007 ワイン的感想 (2007/12/24) |
いろいろあった、(本当にいろいろあった)、2007年も終わろうとしていますね。公私共にワインとの深まりを感じつつ、ブルゴーニュワインの一部の銘柄の強烈な高騰に、なんだか白けムードも漂いつつ、ワインをいかにしておいしく楽しめるかにスポットを当てた一年でした。原油の高騰やユーロ高、フランスの物価高などの理由も絡み合って、フランスへは二回しか行けませんでした。しかも二回ともかなりの強行軍で、現地の日本人の友達や知人にはほとんど会えなかったりしつつ、フランス最新事情に触れた一年でもありました。
で、ワインセミナー的には、おいしいレストランでの開催(通称・至福のときシリーズ)が定例化しました。晩秋には、日ごろお世話になっているお店がミシュランで高い評価を受け、極めてうれしかったり、逆に電話が通じなくなって不便を感じたり、いろいろありましたが、おいしいひと時を共有させて頂き、大感謝なのです。特に三ツ星の小十さんと、カンテサンスさんの影響力はすさまじかったです。びっくり。 また赤坂のmy-anさんや神楽坂のル・コキヤージュさんでのテーマ別セミナーも快調で、8400円や10000円会費のセミナーでもロブマイヤーを数客ご用意できる体制も整いつつ、日常生活のちょっとした贅沢を切り口に、ワインの魅力に迫れていればうれしかったりします。夏以降、いろいろな事情で休止していた武乃蔵さんでの会も、復活できて、来年も大いにワインを発信していきたいと思います。また渋谷や王子などでもずいずいと・・・。 で、今年はフェラーリ(号)も大活躍。初めて新潟でセミナーを開催させて頂き、新潟の面白さにも触れつつ、新潟は都心からそんなに遠くない事実をしっかりと受け止めたのでした。雪が解けたらまた開催したいです。そして、関西でも二回も開催させて頂き、奈良・大阪・神戸を攻めつつ、いろいろな出会いに恵まれました。京都・太秦の隠れたカレーうどん屋さんも発見したりしました。関西ワイン事情も東京のそれとは微妙な違いを感じつつ、必殺ブルゴーニュ魂は、大阪の街を走りました。 また静岡での定期開催も大変ありがたく、静岡と浜松をメインに、ワインで広がる人の和に感謝感激なのです。静岡、浜松に出張される方は、何気にご連絡ください。とてもおいしいレストランが、あそことあそこと・・・いろいろご紹介できそうです。静岡県・・・恐るべしです。 そして静岡のお隣、山梨県には、過去最高に通わせて頂きました。最近誕生したシオン・ワイナリーさんの活躍に期待しつつ、おもに家族経営のワイナリーに足蹴く通わせて頂きました。時にひとりで、時に誰かと、時に団体で訪れては、いろいろ良くして頂き大感謝なのです。 その他いろいろありますが、ワイン的に印象に残っているワインをカテゴリー別に列挙すると・・・。 【スパークリングワインの部】 1990 シャンパーニュ アルジャンテーヌ 農協のシャンパンですが、偉大なビンテージにして、最近のデゴルジュマンという品質の確かさも加わって、極めておいしいシャンパーニュでした。隠れシャンパンの代表格で、同じ年のメゾン系の銘柄が軒並みすごい価格をつける中、コストパフォーマンスに長けています。熟成した白ワインとしても楽しめ、ロブマイヤーとの相性もバッチシでした。プレスティージュのほうのキュベはブランドブランで、こちらもバッチシでした。 2004 クレマン・ダルザス ビネール アルザスのビオディナミ農法実践者のクリスチャン・ビネールの白ワインは、とてもおいしいです。ミネラルを意識させつつ、華やかな香としっかり辛口な味わいは、料理との相性もいい感じ。ロブマイヤー・チューリップBで楽しめば、変なシャンパンなんて、あっち行ってしまえ状態です。 n.v. シャンパーニュ ブリュット・アンペリアル モエ・エ・シャンドン 白金の某店で飲むモエ・エ・シャンドンは、どうしてこんなにおいしいのだろう・・・つくづく思います。幸せ。 その他、テタンジェのコレクションシリーズもすごかったです。ゴージャスでした。 【白ワインの部】 2004 ムルソー ルー・デュモン 再来年の大河ドラマ「天地人」と同じタイトルがラベルに記されている仲田さんの白ワインはうまいです。誰もが、ふうっと顔を上げ、その感動を分かち合う姿は、とても好きな光景です。樽香がやや気になるといえば気になりますが、それがまたいい塩梅に触れていて、仲田さんのまじめな性格が、ワインに現れているようです。日本人がブルゴーニュでこういうワインを醸しているのかと思うと、ぞくぞくしつつ、リスペクトの嵐です。 1985 シャサーニュ・モンラッシェ1級モルジョ フォンテーヌ・ガニャール プレ・チェルノブイリ・・・。1985年の白もすばらしいですね。このワインは先日の小十さんの会に登場しつつ、ロブマイヤーに映えました。同じ年のラモネのバタールもすばらしかったですが、この危なげで、微妙なニュアンスが個人的にはいい感じ。印象に残りにくいが、その点に命をかけています(笑) 2006 キザン白 機山洋酒工業 お刺身に、隆太窯の南蛮コップに入れたキザンワインは、何でこんなに合うのでしょうか。刺身の生臭さをいかに克服するかがワインのひとつの壁かと思いますが、キザンワインはいとも簡単にその壁を乗り越えます。山葵の余韻と相性もよく、日本のワインの実力の高さと、亜硫酸無添加ワインへの敬称という意味合いも感じつつ、食の安心・安全のど真ん中的ワインにつき、そのおいしさに、ほほも緩みます。 2006 甲州万力山 金井醸造場 白ワインは冷やして飲むもの・・・・という概念を軽く壊す試みをこのワインでさせてもらいました。カンテサンスの岸田シェフの魚料理に、金井さんの万力山を唐津焼でサービスしつつ、ワインは室温のままに・・・。温燗的な楽しみをワインで実践しつつ、一部の方からはこんな提供の仕方があったのかと、ご賛同をいただきうれしかったです。醸しの甲州をいかに楽しむか・・・。癖のあるワインにつき、万人受けはしないと思いますが、それを唐津の土のパワーで持って、違う角度からアプローチしてみました。 2006 アルザス メール・エ・コキヤージュ ジュリアン・メイエー 昨日、藤沢の天麩羅屋さんに持ち込ませていただき、楽しませて頂きました。天麩羅と合う白ワインとして、筆頭格かと思います。華やかな香とミネラル感。アルザスの地が、かつて海の底だった記憶も蘇ります。 【赤ワイン】 1985 ニュイ・サン・ジョルジュ リシュモアン ペルナン・ロサン 1985のブルゴーニュは、今、とんでもない熟成を見せ付けますね。これぞ熟成のきわみ的な味わいで、こういうワインを飲んでしまうと、ワインは20年寝かせないといけないという思いも募ります。(でもすぐに飲むほうが私は好きですが・・・) ペルナン・ロサンは、かつてその独特の還元臭から、敬遠する造り手のひとりでしたが、1985は、そんな気配は全くなく、それはそれは美しいピノノワールを体感させてくれました。ただ残念ながら、再開は不可能なところが辛いです。 1992 ボンヌ・マール デュジッャク 1992は、いま果実味が落ち着いて、とろりとした味わいが楽しめますね。ワインのボディ感やスケール感はこじんまりとしていますが、このとろりとしたうまみ成分は、日本人の味覚を小気味よく刺激してくれるようで、ルーミエのレザムルーズもそうでしたが、なんとも幸せ。ロブマイヤーのこじんまりとしたグラスに、そっと支えられるおいしさは、儚さとのせめぎあいも楽しく、いい感じです。往年のデュジャック節もすばらしく、古きよきブルゴーニュに涙も出そう。 2002 リュリ1級プレオー エリック・ド・スルマン 和食に合うピノ・ノワールの代表格。油断するとそのパワーのなさに、一瞬で見限られそうな、そんなニュアンスも持ちつつも、御出汁の風味に似た優しい味わいに気がついてしまうと、もう箱買いのワインに変貌です。滋味。うまいです。ただ液面ぎりぎりまでワインが張っているために、ふと気がつくと、液モレしてしまうリスクも抱えつつ、漏れたては、とてもおいしいから不思議です(笑) その他、いろいろなワインに恵まれて、大感謝です。来年は、どんなワインと出会えるのでしょうか。 おしまい Copyright (C) 2007 Yuji Nishikata All Rights Reserved.
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