カンテサンス・・・恐るべし (2008/02/15)
 



 ミシュランでの三ツ星獲得とNHKプロフェッショナルの出演で、一躍「時の人」となった岸田シェフ率いるカンテサンス。ミシュラン発表以前から、なんどかお邪魔させて頂きつつ、そのたびに新たなる感動をもらえる大切なレストランのひとつです。そんなカンテサンスで、時々ワインの会(至福のときシリーズ)を開催させてもらっています。

 ちょうど明日、ランチタイムにお世話になりますので、その時の資料をこの場にて紹介してみようと思います。今回の資料は少しサボって9ページになりつつ、その冒頭の文だけをかるく・・・。

 ところで、カンテサンスの予約はミシュラン以前は比較的簡単でしたが、いまやもうかなり厳しい状況になり、電話もほとんど通じません。また予約も2ヶ月以内しか受け付けていないので、しばらくは、開催予定日の二ヶ月前の午前中に携帯電話と固定電話の両方からアプローチしつつ、電話が通じ、予約が適うことを願う感じになりそうです。ひい。


2008/02/16の会の資料より抜粋。

カンテサンス avec ロブマイヤー & 隆太窯       2008/02/16

東京・白金台は、プラチナ通にあるフレンチ・レストラン「カンテサンス」。ミシュランが三ツ星に選ぶこのレストランは、若きシェフ・岸田周三氏と、彼に賛同する抜群のスタッフによって営まれる日本フレンチの最前線だ。今は、昔と違い、迅速な物流システムが構築され、温度管理の行き届いた保存設備が発達し、素材の鮮度の不安定さを濃いソースと大量のスパイスでカバーする時代ではなくなった。素材のうまみを素直に楽しめる時代が到来しているのだ。その素材のうまみを岸田シェフはお皿に表現する。それこそが、岸田シェフの料理がキュイジーヌ・コンテンポレーヌ(現代的な料理)と紹介される所以だろう。

一足先にフランス料理の第一人者の地位を射止めたパリの「レストラン・アストランス」のシェフ・パスカル・バルボに師事した岸田シェフは、伝統のフレンチに欠かせないソースのうまみに頼るのではなく、素材のポテンシャルと繊細さに重きを置いて、それを巧みに引き出す技術と持続する情熱を、一皿、一皿にこめてくる。岸田シェフは常に「3つのプロセス」を大切にする。素材の尊重、火の入れ方の追及、味付けの配慮の3つだ。「料理=命を食す」という方程式に最大限の敬意を払う岸田シェフの哲学は、素材のうまみや季節感にこだわり、それをフレンチの最先端の技法によってフランス料理に昇華させ、その繊細さを尊重する味付けによって、全く新しいフランス料理を生み出す。その感性は、初めて岸田シェフの料理を食する人には別次元の世界の扉を開かせ、何度も味わっている人には、そのたびに、さらに奥深い世界へと導いてくれるかのようだ。思うに、カンテサンスの料理は、フレンチのそれよりも、最高の和食の精神にも似て、とりわけ日本人の心を揺さぶってくる。その繊細さと美しさは、同じく三ツ星レストランである銀座小十の世界観に通じていると思うからだ。日本人が作るフランス料理の意義と理想。そして洗練された技術と情熱。このバランスがカンテサンスの真骨頂。

「カンテサンス、おそるべし。岸田周三、おそるべし」

ところで、岸田ワールドに欠くことのできないワインもまた、カンテサンスで食事をする醍醐味のひとつだ。シャンパーニュとブルゴーニュをこよなく愛する岸田シェフの趣味は、ブルゴーニュ魂ともシンクロしつつ、岸田ワールドを大いに引き立ててくれる。そして思う。岸田ワールドに共通する美しさは、ロブマイヤーグラスとともに最高レベルで表現したいと。料理とワインの両輪をつなぐ架け橋に、ロブマイヤーがあって欲しい。岸田ワールドの美しさは、ロブマイヤーでさらに上の世界へ。うつくしい料理を、さらに引き立てるワインは、ロブマイヤーで飲まれるべしと信じている。ロブマイヤーの繊細さは、レストランでの日常業務には適さない面があることを理解しつつ、今日、カンテサンスの全面的な協力を頂きながら、ロブマイヤーとの不思議な共通項を楽しんで頂けたら幸だ。

そして、日本の三つ星レストランには、日本のワインがあってほしい。地産地消。先日のNHKのプロフェッショナルで紹介されたように、フレンチでは禁断とされるマグロ料理に挑戦する岸田シェフをして、日本の大地で育まれたワインは、カンテサンスのテーブルを飾るべきなのだ。特にカンテサンスの魚料理は、螺鈿(らでん= nacre)(真珠色に光を放つ貝の薄片の紋様)に輝く美しさを持っており、その「美」に甲州ワインは、何気なく寄り添ってくれる。そして、これは特殊な飲み方であることを承知の上で、あえて唐津焼の名釜「隆太釜」の中里隆の南蛮コップで楽しみたい。日本の土から生まれたワインを日本の土で包みたいからだ。螺鈿の輝きに、甲州ワインは、美しく、穏やかに共鳴してくれる。今回は()、山梨県の機山洋酒工業のキザン2006を選択。ワインのエチケットに掲げられるWe are proud of KIZAN WINEが今日、隆太窯を介して、岸田ワールドと共鳴するはずである。

 さあ、カンテサンスの感性を共に !!!


 おしまい
 
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