カンテサンスの賛否 賛の方 (2008/02/18) |
私の心に、星が輝くカンテサンスは、ミシュランも星をみっつつけたことで、一躍「時のレストラン」になった。カンテサンス率いる岸田周三シェフの現代風フレンチの味わいは、とかくあっちこっちで、賛否を分けると聞くが、私は圧倒的に賛の方にいて、燦燦と行ってもいいくらい大好きな味わいで、極めてうれしいハッピー・レストランのひとつだ。
そして私は、信じる。カンテサンスの、その賛否についての議論ほど不毛なものはないと。それはたとえば、箸の持ち方が出鱈目な人と、塗り箸の話を続けるかのようであり、手作りカレーの味見もせずに、いきなりソースをぶちまけ、ぐちゃぐちゃにかき混ぜてしまう人と、そのカレーの話が出来ないように、「非」側の人に、岸田ワールドがいかにすばらしいかを説明するのは、極めて困難だと思うからだ。 岸田シェフの感性は、自分の感性で受け止めるしか手立てもなく、それはもう直感としか言いようのないものかもしれない。岸田シェフの料理は、お酒を飲む人と飲まない人とでは感想も違うだろうし、普段から濃い味付けが好きな人や、肉はウェルダンでという人には、なかなかに受け入れ難いかもしれない。フレンチの伝統のソースに重きを置く人もしかりだ。 どうしてもカンテサンスの感性は、口で説明出来ない。 岸田シェフの料理とワインのマリアージュを直感的に楽しめたならば、次の予約日を楽しみにするだろうし、味気ないと思った人は、再訪しなければよいのだと思う。ただそれだけの話。それを自分の味覚の優位性を鼓舞するかのごとく、ブログか何かで、「非」の意見を連ねても、それは仲間は増えるかもしれないが、何も創造しないし、不幸な作業になるかもしれない。 しかし、幸にも、カンテサンスの感性と、私のそれは、ジャストぴったんこ。幸せである。あの繊細さを、ロブマイヤーでお供したいと信じるほどに、カンテサンスは、美しいブルゴーニュを飲み込んだあとにやってくる、あのうまみ成分の塊と、永遠に続くかと思われる長い余韻に共通項を見出しながら、次の予約を取っていないことに、少しばかり後悔する日々が続くのだ。あっけないほどにおいしいブルゴーニュとカンテサンス。エレガンスで繋がる食空間に感謝あるのみだ。 カンテサンス・・・。 賛の方、私は、好きなほうにいられて、とてもうれしく、そしてその価値観を共有できた人とは、これまたおいしいお酒が飲めそうで、さらにうれしくなるから不思議だ。カンテサンス・・・恐るべし。ともにカンテサンスの余韻に浸りたい。そんな友達がたくさん出来るとうれしいぞ。 おしまい Copyright (C) 2008 Yuji Nishikata All Rights Reserved.
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